才能税とジョージズム
注意: わたしayu-mushi.iconに経済学の知識はない
natural endowment
個人の生まれつき決まっており変わらない才能からくる利益というのは経済学的にはレントということになり、地価税(あるいは人頭税)と同じように、税をかけても才能が減るわけではないので、効率的な税になる?
才能に課税して貧しい側にお金を配れば、限界効用逓減の法則を考えると、功利主義的にプラスになる
負の才能税 (生得的な才能の高い人に課税して生得的な才能が低い人にお金を配る)
(ところで、こういう限界効用逓減の法則にもとづく再分配の功利主義的な正当化を受け入れると、単にお金のかかる趣味とかがあるためお金1単位あたりから得る幸福が大きい人に配ればいいとかみたいな論法も受け入れる必要がでてくるわけだけれど (構造上同じ理屈なので))
あまりお金のかかる趣味がない人は労働時間を減らし、お金のかかる人は労働時間を増やすとすればわざわざ配る必要はないか?
個人の生まれつきの才能、遺伝子、容姿は経済学的に土地 (land) と考えることができる?
生まれつき才能があることや右利きであることは土地であり、それはその人にレントを生成する
human capital vs. human land
人頭税2.0
たとえば生まれつきひよこ鑑定能力者が居るとして、それに該当する場合ひよこ鑑定士になるかどうかにかかわらず税を取られる。
この場合、その人がどんな職につこうがその税を取られる以上、才能税は市場のインセンティブを変えない。
一方、所得税の場合、税を増やしていくと、人はひよこ鑑定士ではない楽な仕事を選ぶ可能性がある。
(いくら高税でも他の仕事より低くはならない以上、ひよこ鑑定士はそんなに重労働そうに見えない (しらんけど) ので別の仕事にする必要はない気もしてきたが ←余暇と労働の比率が変わる可能性があるのでは
(いや所得税ではなくひよこ鑑定士税のようなものならそうはならないか)
労働の過酷さとは関係なく仕事についての好みがあって、「ひよこ鑑定つまんないけど、一定上の給料ならひよこ鑑定士をやる」という人が職を変える可能性がある
(というような才能を、隠されないように事前に測定するというのは、仮にDNAが分かっても無理そうだけども)
これはひよこ鑑定士以外になる権利をやや奪っていない (職業選択の自由の侵害?) か
額による?
ひよこ鑑定という商品を売っているとみなせばいい
法の下の平等には反する気がする まさに生得的な自分ではどうにもならない部分で差別することによって行動を変えずに徴税できるという話なので。
自由という点から考えると、効率的な税は自発的な相互利益のある取引の発生を邪魔しないから自由を促進しているとも言えるかもしれないし、逆に効率的な逃げられない税というのは自由を強く損なうものとして捉えることもできるかも。
後者のほうがもっともらしい気がする
才能を同定することは、どうやるのか分からないけど、なんかDNAをしらべるとかなら、プライバシーに反する可能性
(追記: 出産するさいのインセンティブを変えるのでは
人間は土地とは違って新たに産み出されるんだった !
徴税されることで子供を減らす方にインセンティブが変わるのか、作る方に変わるのか分からないけど 減らすんじゃないの
いや「世帯ごとに2人、或る才能を持つ存在がいても1人と同じ分としてしかカウントしない」などとすれば出産のインセンティブも変えないようにできる気がする
ヒース『資本主義が嫌いな人のための経済学』には出産に及ぼすインセンティブの効果は大きくないみたいな話があった気がする?
「出産に及ぼすインセンティブの効果が大きくない」なら児童手当は少子化対策に役に立たないことになるけど
このことが気になるなら、ある時点で生きている人だけに絞った再分配を行い、これから生まれる人には適用しないとすることで回避すれば
あと才能のある人材が海外に流出するのでだめじゃん。
まあそれは所得税でもいっしょなので、このことを考えたとしても所得税より才能税が望ましいという主張はできるかな。
の案はわたしの案に似ているけど、MileyCyrus 氏の案は 才能税に加え、才能税の (予想) 額のうちの一定比率を、産んだときに母親に支払われるとすることで、出産するインセンティブを減らす効果を相殺、あるいは逆に出産インセンティブを高めてる?
市場を使って子供の才能 (= 生得的な要因のみから予想される将来の期待収入) を見積もる方法がありそう。
これをすると所得税と才能税の併用になっちゃうけど:
将来 子供の収入の数%を受け取る権利を親に配布する
1%ずつに権利を分割して配るとかしたほうがいいのかな
子供が産まれたとき、遺伝学者や投資家が集まり、遺伝情報や親の経歴とかに基づいてその赤ん坊の期待収入を予想することができる。あるいは遺伝情報・親の経歴が一般に公開される。これらの遺伝学者や投資家は、ここでの情報に基づいて後で「子供が就職したあとで収入の数%を一年ごとに受け取れる権利」を買うことができる
親は公開市場でその権利に金額を割り振る。親がこの権利に割り振った金額より高いお金を親に支払った人は、問答無用で子供の収入への権利を買い取れる
この権利の市場価格は、子供の所得の数%から得る利益が時間割引やリスクによって調整された額になると予想できる
現在割引価値?
「この権利の (生まれてからすぐのときの) 市場価格に税率に応じた係数をかけた額」だけ 将来子供が働いたときに才能税を課税する
親が子供の支払う税を下げるために権利に低い値段をつけるインセンティブはない。そんなことしても人の心のない投資家たちによっていずれ市場価格は上がると予想できるから
逆に、親がでたらめに高い金額を割り振るとそれが市場価値とみなされ子供が将来才能税をたくさん取られることになるだけで、親がもらえるお金は増えるわけではない
サディストの投資家がめっちゃ高い金額をつけることは防げないのでは
サディストじゃなくても、才能税が高いほど人はそれを払うために働かなければならなくて収入の高い職につかなきゃいけないので、権利に高い金額をつけることで人工的にその権利から得る利益を多くできてしまいそう
市場価格を世界に関する推定値としてつかって才能税を決めたいのに、市場価格自体が世界の側に影響を及ぼしてしまうという根本的な問題があるのでは
みたいな制度設計をなんかいい感じにやれば、
「市場による才能の正確な推定」
「資産としての子供の価値を最大化するような子育てと子作りのインセンティブがある (これは普通に税でインセンティブが歪んでる気がするけど)」
「子供の労働意欲を減らさない効率的な税制」(数%は権利者に支払うから一部所得税になるけど)
とかの条件を満たす制度をデザインできそうな気がする
いや普通に子供の収入の予測市場とかのほうがよさそうな
いずれにせよ子供が将来支払う税を増やしたくない親は、子供の才能を隠すインセンティブが生じてしまうからだめじゃない?
)
所得税も大して労働のインセンティブを減らさないという話もあるらしいけど:
Economists have established that income tax isn’t very harmful to the economy until you start getting to very high rates. The 39.6% rate of top income taxes in the 90s sure didn’t seem to make any rich people stop working. So if you want to tax the rich, income tax is a good tool. 過去の研究からは、「①税率変化(税引き後賃金変化)に対する就労者の労働時間の反応は、女性や高齢者では比較的大きいが、働き盛りの男性では極めて小さい。②税率変化(税引き後賃金変化)が就労参加に与える影響は、労働時間に与える影響よりは大きい」(46p)ということがわかっています。
ただし、日本的雇用の場合、税率によって働く時間を変えるということは考えにくいので、税率の変化は労働供給に影響を与えることはないと考えられてきました。
(これあくまで才能に応じて課税するシステム自体に総余剰が減らないというだけで、どの才能に応じて課税するのかを政治的仕組みで決定することを認めることでパイが小さくならないかはまた別の問題。
(複数の勢力が分配を操作するために資源を投下していった場合、そこで投下されている資源は結果に影響しない部分はパイが減っている))
レントシーキング費用
「ジョージズム的政策が行われる。そのさいに現在の収益からレント分を推測する」ということが周知になることは (ジョージズム的政策が行われる前に収益を減らすことでレントの量を過小に認識させようとする) インセンティブを歪める?
そんな大規模な協調をするのは難しいんじゃないの
才能を持っている人がお金を持っているほうが進学などに利用できるのでいい?
才能税というのは奨学金の逆にならないか
これは学生ローンが才能がある人に十分に融資できるなら解決する
もし「才能を持っている人のほうがより恵まれた生活をするに値する」と思っているなら、才能がある人なのに学生ローンで借金を返す生活になることは悪いことだけど、もし desert 的思考を排除するなら、高卒で働くこともできたのにそのように生活することを選択した人を、高卒で働いている人に比べて優遇されるべき理由はなんらありはしない
(大学で得る知識に正の外部性がある場合を除く) (外部性がないなどの、理想的な条件のもとでは、教育によって生産性が上がるとかのことによる社会的便益は、自由市場での賃金の向上に反映されるので、あたかも受益者は教育を受ける個人のみであるかのように扱っても問題がない。(もし受益者がある個人のみなら、その個人に対し直接送金することは、その個人が何かを購入するさいに補助金を援助することよりも、常に望ましい) その場合、自由市場において、人々は (借金などを用いることで) 社会的に効率的な水準まで教育を得ることになりそう。)
「高い収入を持つ職は、家柄とかではなく能力で決まるべき」という考えがある。この根拠は、
1. 能力のある人が職に配置される方が社会的に望ましいから (道具主義的根拠)
このScott Alexanderの記事は、なんとなく給料が高くて社会的に貢献も高そうってイメージあるのでメリトクラシーの正当化に使えそうという魂胆で医師 (外科医) を例にあげたんだろうけど、医師免許制度があるから医師の給料は自由競争市場で決まってないよね。つまり医師の高給は(アメリカでは公定価格でもないし)「才能のある人がそれより社会的利益の低い仕事じゃなくて医師になることへのインセンティブを与えるため」として正当化できる範囲を超えてるはずでは…? トリックだ!!
2. 能力を持つ人が家柄を問わず高い収入によって報われること (メリトクラシー、社会的流動性) に内在的な良さがある (分配的正義に関する理由)。授業で教授が優秀な生徒にAをつけることは帰結と関係なく公正であるように、有能な人間が高給になることはそれがもたらす帰結と関係なくそれ自体として公正である (※)。
の2つが考えられるけど、もし(1)の道具主義的根拠のみを取る場合、公的な教育援助がなくても、学生ローンのような自由市場のメカニズムで効率的な職の配置が達成される可能性が高い (???) ので、高等教育への政府支出は正当化されない。
A. A quite different argument concedes that education is a private good, but focuses on "credit market imperfections." In essence, the problem is that it is difficult to credibly promise to repay an educational loan. With a house, they can repossess the house if you default. But they can't repossess your brain if you default on a student loan.
B. Still, the problem is less serious than it sounds. The IRS doesn't take excuses for failure to pay taxes; why couldn't lenders be given a comparable level of legal authority to attach your wages if you default?
(教育は私的財としたとしても) 学生の場合借金をしても債務不履行にならないことをうまく保証できないので、政府が融資を行う必要があるという議論があるらしい。上記事で、ブライアン・カプランはそれに対し反論してる。
Bryan Caplanのばあいはメリトクラシー賛成かつ高等教育への公的助成反対だからややこしーけど
土地は売れば手放せるけど生得的要因は手放せないので、完全に土地と同じ扱いになるわけではないか
ルッキズムの批判者はミスコン、ミスターコンを廃止しろ というだろう、容姿ジョージストはミスコン、ミスターコンの存在はいいが、容姿に課税して再分配せよ というだろう
ジョージズム的解決: 肥満になりやすい遺伝子の人にお金をあげて、Fat Shaming は残す
これは犯罪への傾向がある遺伝子が発見された場合にも言えるかもしれない。そのような遺伝子を持つ人を見つけ、お金を与える。
遺伝子はインセンティブに反応することはない (子供を作るインセンティブを考慮から除いた場合は) ので、これによって犯罪が増えることはない。そのお金は、「そのひとが犯罪を犯して罪を受ける確率で発動し、発動した場合その罪の刑期を被る」というくじと引き換えにその人が買うことにも売ることにも同意する金額だとしよう。これにより、その人が刑罰を受ける可能性が他の人より高いことへの補償になる。(その遺伝子を持たない人でも罪を犯す可能性はあるだろうから、遺伝子がある場合とない場合の確率の差(比?)にしたほうがいいかも)
これは功利主義者でなくても、「人が自分の遺伝子に責任を持たないのだから、遺伝子に由来することで責められるのは不公平だ」と考える人 (運の平等主義者) にとっても受け入れやすい
Taggingというらしい
Alesina, Ichino, and Karabarbounis (2008) consider taxes that depend on gender, while Mankiw and Weinzierl (2008) consider height-dependent taxes.
マンキューによる身長税の考察
身長と収入は相関する。そこの因果関係がどういうメカニズムかに関係なく、収入と結びついている属性に課税できる。身長がインセンティブに反応しないとすれば死荷重がない効率的な税制になる (身長測定で猫背でちっちゃくなるズルする人がたくさん出てきそうだけど)
「担税能力」に応じて個人間で「差別的」な人頭税もありうる⇒ 「公 平」の即した定額税
「差別的」で「「公平」の即した」とは如何なること
社会で必要とされる才能に変化が生じた場合には才能税はどう変えるべきか
「能力に応じて働き、必要に応じて受け取る」を価格メカニズムと両立させる
<追記: 2022/8/16>
運の平等主義という言葉の意味は今知った(聞いたことはあったけど意味を調べてなかった(道徳的運とごっちゃになって、なんか難しい倫理学の概念だろうと思っていた))が、そのへんですでに議論されてそう (9/9: タイトルに追加した)
やっぱり運の平等主義はあんまり関係なかったかも
(2025/12/21 タイトルから除去した)
(今後起こることへの保険はリスクを分散するという明確な功利主義的利益があるけど、すでに起こったことへの保険のようなものを正当化できるのかは自明ではないと思った(すでに起こったことでも、診断されていないなどでそのことを知らない場合はリスクとみなせる(しかし、任意加入の保険だと、自分が知らないということを相手に知らせることができない)))
いやリスク回避的な効用関数は限界効用が逓減しているので事前か事後かに関わらず「リスク回避」の議論は同じでは 別にリスク回避というのは保険があると安心感が得られるとかそういう意味ではないので
起こった後には悪い側には交換するものがないのでパレート効率性の観点から問題視することができないだけで、事前・事後に関わらず、社会保険の功利主義的な正当化の仕方は一緒 (限界効用逓減の法則)では
うーん、たしかにどっちも限界効用逓減の法則が根拠ではあるけど、リスク計算のときと個人間比較のときで同じ話ではないよね。無知のヴェールにおいてはリスクの比較が個人間比較でもあるけど、普通のリスクの計算はそうではない。
所得が一定以下の層に対する医療保険とかだったら限界効用逓減の法則だけで功利主義的に正当化できそうだけど
明言なしに運の平等主義みたいなのが前提にされてる文章を見てこれって原理から正当化できるのか疑問に思って (ヘンリー・ジョージ主義による土地への課税と同様に正当化する) この記事を書いた
このように功利主義的な正当化が与えられる、ということは本来の運の平等主義者にとってはどうでもいいのかもしれないけれど
運の平等主義という言葉を知る前にそのような考えを見たときは、持っているお金が多くても運が悪い人にお金を与えるべきなのかを疑問に思った(しかしお金自体に課税する平等政策より税のがれがしにくい(死荷重が少ない)というメリットがあるということだ )。
これは地価税に関して土地だけ持ってて貧しい人に課税するのは平等にとってよくないという議論に類比できる。
> 「わが国の貴族が裕福なら、永久に課税しても問題はない。逆に貧しくみえるなら、彼らは質素に暮らして莫大な貯金を蓄えているはずで、やはり永久に課税しても問題はない」1
これは、土地だけ所有していて税として徴収可能な流動資産がない貴族を考慮していないという点で、誤った二分法と言える。
土地だと売ればいい
(あるいは)これは全部足した上でまとめて豊かさを見積もって多い人に課税するというようにすればいいか、しかしA, B, Cにそれぞれ課税しても A, B, Cへのそれぞれの税をa+b+cにしてまとめて課税しても同じでは(手続きに関わるコストは無視すれば)
(これはある点では恵まれているが別の点では恵まれていない人の結果の平等概念における扱いはどうなるのかという問題に対する回答になっている。)
これはレントが加法的に得られることを前提にしているのでは
P(X & Y) ≠ P(X) P(Y)
P(X & Y) = P(X)P(Y|X)
もしお金と社会的地位について無差別曲線があって、それが原点に対して凸なのに、「お金はあるが社会的地位はない」状態になっている人が居るとすると、その人からお金をとって社会的地位を上げるという操作を取引またはその他の方法で行うことでその人の厚生を改善する、という操作が考えられる。
もし限界効用逓減の法則に基づく平等の支持を利用するなら、交換不可能な2つの側面について、恵まれている部分からはぶんどって再分配するという操作も、恵まれていない部分については他から再分配する、というどちらの操作も、厚生を改善すると考えられる? (要検討)
効用関数(お金, 社会的地位) の偏微分がそれぞれ単調減少
お金mと社会的地位sの適当な関数x=f(m,s)とひとまとめの変数にして、u(x)に限界効用逓減の法則が成立するという定式化とかではなく、変数それぞれについて限界効用逓減の法則 (偏微分) が成り立つというふうにするのは、ふつう経済学で効用関数を使うときと同じ使い方だろう
(メタな話: 「公正さに対するみんな(誰?)の直感はたぶん帰結主義からすればおかしいだろう」という勘にしたがって考えていたけど、結果的には努力の結果ではない格差は公正ではない / 是正すべきであるという皆さんの直感をほぼ追認することになった。)
追記: や、運の平等主義者は功利主義を批判するだろうから、逆に功利主義から見たら運の平等主義者がおかしいというのはあってるのでは
追記: desert (deserving) と entitlement (ノージック) みたいな話があって、功利主義においてはそういう概念は消去もしくは還元されてるっぽい。 というよりむしろ自分のほうが自由市場における分配はインセンティブとして正当化できるだろうという自分の desert に関する直観に誘導された判断でだまされていたっぽい
「desert に関する直観は社会的に良いインセンティブを与えるために進化した機構だ」「道徳的直観は功利主義的な計算を行うコストを節約するのに使えるヒューリスティックである」と思っていたので、両者の間に生じうる違いを過小評価してた
じゃあなんで「みんなの直観はおかしい」とも思っていたのか。まあそれはそこでいうみんながインテリを指してるからでほんとにみんなを指しているわけじゃないからなんだけど。
desert に関する直観がインセンティブの話と食い違うのは、自分の子孫に財産を遺贈することの道徳的扱いなどがある (desert的には相続財産は正当化できないが、死ぬまでに全部消費し尽くす!みたいなのを防ぎ投資や貯蓄や労働を行うインセンティブとしては (遺贈された財産への権利を) 正当化できる)
これは刑罰において子孫を罰するというのは desert 的には正当化できないが、インセンティブ的には正当化できるかもしれないのと似ている
遺贈の場合は、自分が所有する財産を好きな他人に譲渡する権利としてリバタリアン的にも正当化できるけど (あるいは死者は権利を失うとすればそうでもないかもしれない)
(注: 現状の相続制度が正当化できるわけではない(現在の相続制度は「死んだ人に課税して血縁者に再分配する」という謎の仕組みなので、反リバタリアン的なものになってる))
</追記>
「もし知能が完全に後天的なものであれば、富と権力の平等な分布は機会平等の政策だけで十分に保証されるはずだ[実際はそうなっていない]。…社会正義が、もっとも生活に困っている人たちの福利に配慮することであるなら、遺伝的な差異があるという認識は、積極的な富の再配分を要求する」㊦45頁
しばしば「リベラル左派は能力の遺伝性を軽く見て、環境の影響を重く見る」とされるけど、ロールズが機会平等だけを保証して結果の平等を保証しないことを批判するさいに、「それでは遺伝子の運によって決まってしまう」と批判してる (正義論) のは興味ぶかいね。ロールズはIQの遺伝性みたいな話をしってたのかな。
正義論には、優生学について言及してる箇所もあるね。
べつに不正ではなくても多数派に課税するのはどうか
ブライアン・カプランによれば、IQの遺伝性はリバタリアン的政策の根拠になる。いっぽう、タイラー・コーエンによれば、逆であり、むしろ再分配の根拠になる。
カプラン: IQ研究からは、教育に関しては一般に言われるより効果がないということになるので、政府の公的教育支出を減らすという意味では、リバタリアン的政策の根拠になると考えていい。教育への公的支出と再分配はまた別の話だけど、功利主義的観点ではなく、誰がその収入に値するかに関する考慮 (moral desert) からは、IQと収入が相関するということは、タイラー・コーエンに反して、再分配への根拠を削ぐ。 功利主義 / 運の平等主義 陣営と、能力主義、moral desert陣営の対立?
Bryan Caplan はけっこう張り切って能力主義を擁護してるね:
分配的正義の理論としてメリトクラシーをBryan Caplanが支持してるかは明らかじゃないけど (貧困者への救済を正義の問題ではなく慈善の問題として扱う人がいるように、実力のあるものが報われることも「正義の問題ではないが良いことではある」と考える人がいても不思議ではない)
内発的動機づけ税
もしある人が高給の仕事を内発的動機づけによりほかの人より苦に感じずにできるのはレント?
レントっていうか価格弾力性が低いんじゃない?
こうしたトレンドの結果、現代経済で成功する人は、大抵の場合で、頑張りすぎない人となっている。最たる例が、現代のハイテク企業だ。こうした企業の創業者たちは、何かクールなものを作ることを優先し、マネタイズは後回しにしている。
このような人は、税を増やすという期待に対し、あまり労働意欲を減らす効果はないかもしれない
あとから税を増やすのはなんか違う気がするけど 内発的動機づけの遺伝子がある人にあらかじめ課税するのが才能税でしょ
いやでもそのような人が複数居たら、競争によって課税しなくてもそれらの人の収入は下がっていくのでは
下がっていくけど、適切な内発的動機づけがない人よりは収入が高いんじゃない?
供給が小さいので
単にみんなにとって楽しい仕事というわけではなく、人によって楽しさが違うという仮定なので
みんなにとって楽しい仕事は給料が下がるけど、一部の人にだけ楽しい仕事は給料が高いはず。
「給料が高い人は環境のおかげだから課税が正当化される」というひとがいるけど、余剰分析的には「提示される給料の相場」という特定の種類の環境への反応として労働とかスキル磨きとかの行動が発生していた場合には (課税してもアウトプットが減ってしまうので) むしろ課税しない理由になる
「環境」「遺伝」「努力」となぜか3つにする人がいるけど努力は環境と遺伝の結果なので余計。
環境の意味による
罰や給料とか社会的評価とかのインセンティブに反応して生じた行動は努力と呼べるけど、そういうインセンティブの存在は環境の一種なので、環境によって引き起こされる行動でしょう
お金と関係のない達成感みたいな内的報酬によって強化されて努力行動が発生することもある。それはなんか今まで与えられたタスクとフィードバックによって報酬系がいい感じになったことによるものだろう。
これはたぶん今まで与えられたタスクという環境要因や、それがうまくできたかどうかのような要因、達成感を感じ動機づけになるかどうかの遺伝的な要因とかによって決まっているだろう。
同様に、「人々が犯罪をしてしまうのは環境が原因」という場合でも、「刑事罰に対する利益の大きさ」というような特定の種類の「環境」に反応して犯罪行動が起こっていた場合には刑事罰を緩める理由ではなく強める理由になるでしょう。(ただし、帰結主義を前提にした場合)
不良界隈は、犯罪のコード化をしっかりと進めているので「これは実刑まではいく」とか、「これはやったら割りに合わない」という思考をする。犯罪をしたら刑務所、みたいなふわっとした思考でいないのだ。具体的な手順、具体的な刑罰を考えて割に合うように犯罪をするのが不良というものなのだ。
「人々が犯罪をしてしまうのは環境が原因」という人が言ってる環境はそういう種類の環境じゃなくて家庭環境とかを指してそうなイメージ
才能ジョージズム、遺伝子ジョージズム、容姿(のうち生まれつきの部分)ジョージズム
(健康な)臓器に課税
ノージックの、目が2つの人のと1つの人がいる世界で、目が2つの人にはお金で課税して1つの人に再分配し、目が1つの人は必要だと感じれば目が2つの人から目を臓器売買で購入するというふうにするといいのでは
ノージックは「権利はかりにそれが効用を促進するとしても犠牲にされてはならない」的なポイントを論証するための例として言ってるだけなので、その場における最適な応答がそれだからなんなんだよという話ではある
羽がある人がいる世界で、羽がある人に課税する。
(生得的)右利き税
(生得的)男性税
(生得的)美人税
障害者年金
The theoretical problem is that, from a certain point of view, we receive many benefits due to things we did not earn, both good and bad. Does anyone deserve have the type of mentality that causes him to want to rape women? Did Ghandi earn his natural gift of being an extremely kind and wise man? Did Stephen Hawking earn his genius? Did Micheal Jordan earn the natural talent, the mental strength, that made him into arguably the best basketball player ever? Did the heirs to the Rockefeller fortune earn that fortune? I am not a cripple, but did I earn the fortunate luck of not being a cripple? Did the cripple earn his or her unfortunate disability? Does the child born into a loving family earn that blessing? Did St. Lucifer earn his evil soul which caused him to be cast from heaven and set about as the epitome of evilness, did he deserve to come into existence evil? Did God earn His existence as a perfect entity, free of any flaws?
ジョージストがこの反論に対し、銃弾を噛むと才能税に行き着きそう 所得につながるような個人の特質に対しては、お金についての限界効用逓減の法則から功利主義的に課税・再分配を正当化できるけれども、所得と関係なく厚生に影響してくる特質に対する課税・再分配は、優先主義みたいなものを持ち出さないと正当化できないかも? 生得的右利きに課税したとした場合 (そんなことができるとして)、利き手を矯正するインセンティブに変化は生じない
その場合、生まれつき左利きの人は、矯正せずに税を取られなかった分を使って左利き用の道具を買うことも、矯正して全くべつのことに使うことも、どちらか望む方を行うことができる。
容姿の生まれつきでない部分にも課税してしまうと、人々が容姿を改善する努力をしなくなることで税のがれをするという副作用があるけど、もし容姿を改善する努力に負の外部性があるとすればそのことに問題はないかもしれない(これは今の話題とはそれるけど)
アメリカで白人が奴隷制への補償として黒人に金銭的に賠償をするという提案があるけど、これは分配以外自由市場をひずめないので、アファーマティブアクションを企業に強いる政策 (disparate impact) よりその点ではいいのでは
格差の原因がなんであれ、人種が収入と相関し、かつどんな制度を導入しても人種は変わらない (混血の場合にどっちに帰属するかについて自己申告する場合のインセンティブを変えるかもしれないけれど) という理由だけで、限界効用逓減の法則やジョージズムから所得移転が正当化されるのでは
格差の原因が奴隷制や差別の残渣であるかどうかとは独立に支持できる
通常は賠償というのはノージックの権限原理のようなもので正当化されるのであって、帰結主義的に正当化されるわけではないけれど
帰結主義的に正当化するなら再分配であって、賠償とは言わないので
脱線するけど帰結主義的でない賠償の正当化について:
ノージックの権限原理に基づいて、集団単位の責任概念なしで奴隷制への補償を正当化できるかと思った(奴隷主の子孫を同定できていなくても、奴隷制から間接的に利益を受けている可能性が高い人から、奴隷制から間接的に被害を受けている可能性が高い人に補償すればいい。被害者と加害者を直接マッチしなくても、お金に個性はないので問題がないだろう。)
相続の概念に基づく場合は、相続放棄 (プラスの財産もマイナスの財産も一切相続しないこと)しない限り、債務も受け継ぐべきだろう。つまりプラスの財産を受け継ぐなら、マイナスの財産も受け継ぐべきだ。しかし、集団責任だけでなく、単なる贈与以上の相続という概念も反個人主義・反自由主義的だとして、拒絶できるかもしれない。その場合は、ノージックの言うように不正が生じなかった場合の反実仮想との比較に基づいて、過去の奴隷制から得をしている可能性の高い人物 (奴隷主の子孫?)から、損をしている可能性の高い人物に補償を行うというふうにする。
反個人主義的・反自由主義的でも、現に存在する/したという理由だけで補償でその概念を使うことは問題ないのでは
しかし、その利益と被害を考えるための比較対象である反実仮想が何なのかという問題になると思う
アフリカにとどまった場合の反実仮想なのか。それとも、アメリカにつれてこられたが奴隷にならなかった場合なのか。
もし前者なら、黒人の祖先については奴隷制から損害を受けていても、その子孫が連れてこられなかった場合に比べて悪い生活になっているかは不明。アフリカよりアメリカのほうが所得は多そうだし。
(ジムクロウなどの他の不正による不利益の残存はどうなのか)
政府の国債はそれを借りるという決定をした人々が死んだあとも存続する
In contemporary economies, economic rents are diverse. They include income that (i) executives receive by gaining control over their own pay-setting (see, e.g., Bebchuk & Fried 2004); (ii) is obtained through luck (Bertrand & Mullainathan 2001); (iii) is connected to unproductive activity (think: hedge funds that exploit technical inefficiencies in markets, Bivens & Mishel 2013); and (iv) attractive people make because they are attractive—the beauty premium (Hamermesh & Biddle 1994).
個々の知性の発揮、成果が尊敬によって報われることはインセンティブとして必要なので、個々の知性の発揮に対し自由市場でrespectが払われた後で、その人の生得的知能に基づいてrespectを再分配するといい (どういうこと?)
人が知能をあらかじめ知っているか成果から知るかというのにもよりそう
それは (in-cashではない) in-kind redistributionの一種では
in-kindよりin-cashの再分配の方が良いという考えがあるけど、そもそもお金で買えないものを再分配する場合は、お金を渡して欲しい人は買えばいいからそのほうがいいっていう、in-cashを支持する通常の議論は成り立たない
respectを失う代わりにxという量のお金を得るという取引を考えたときに、xを増やしていけばどこかで同意するに至るような量xがありえるのでは
一般に、周りの人間にお金を配るなどの方法でrespectを得ることができるのでは (??)
そんな方法で得た尊敬なんて!
たぶん顕示的消費でお金を地位に変換するほうがスタンダードなんじゃない?