第11回転職ドラフトに企業側として参加しました
弊社(当時、サイボウズスタートアップス)としては初参加だった転職ドラフト。今回は採用が難しいPHP/フロントエンドエンジニアを獲得しようとして参加しました。僕は基本的にはエンジニアなので、転職ドラフトにはどちらとしても参加していることになります(過去にエンジニアとしては2回だけ参加しています)。 それで企業側としてかなりのレジュメを読んで指名をする、というところまでCTOと一緒にやってたんですが、色々考えたので書いておきます。
レジュメをどう読んでいるのか
企業側は大量のレジュメから自分たちが欲しい人物像と重なる方を必死に探しています。なので、正直に言えば隅々まで読んでいる暇はなく、ざっと眺めて検討するか否かを決定していきます(本当はちゃんと自分たちの欲しい人物像を綺麗に設定できて、そこからだけ探せばいいとかだと楽なんですけど、転職ドラフトの検索機能って結構弱いのと、案外技術とかでフィルターしない方が良い方がいたりするので、どうしてもほとんど全てのレジュメを読んでいく必要がでてきます)。
もちろん、検討する段階ではレジュメを綺麗に隅々まで読んでいます。というわけで、僕がレジュメをどう読んでいる(た)かについて、箇条書きで雑にまとめてみました(CTOはまた別のことを考えていたと思うけど)。
ラブコール
弊社のような規模の小さい企業にありがとうございます!
めっちゃ嬉しい
レジュメを読み直すきっかけにはなる
指名するかどうかは別の問題としてある
どういう企業にラブコールしているかは分かるので、検討中にどういう企業を好むのか、みたいなのは分かったりします
野望/目標
ここは結構、自社の考え方と合うかを判断するのに利用しました
例えば、「海外で活躍できるエンジニアになりたい(これ結構多い)」みたいなことを書いていると、海外事業所などがない弊社などではちょっと難しいかもねって思ったりします
あとはマネジメント系のスキルを磨きたいって書いていたりすると、弊社じゃないなーって思ったりします
合う合わないは指名する企業によって様々あると思うので、良い悪いではない
僕は結構ここを判断するのに使いました
「その他」の項目
案外、空の方が多かったんですが、書いてあると助かります
基本プロフィールのところにある項目(企業側からは野望/目標と同じ高さの目立つところに表示される)
例えば、家庭を大事にしたいとか書いてあるとだよねーって思うし、こういうのは嫌だとか他の項目で書けなかったことを書いてもらえると補足情報として利用できます
最低でもこのくらいはもらえないと嫌だ、とか書いててもいいかも
使ってるエディタ
評価軸としては利用していないです
IDEの名前が書かれていたりするので、何系のエンジニアかがパッと分かって便利だったりはします
Emacsと書かれていると仲間意識が芽生えた
希望年収がぶっとんでいる
弊社の場合、やっぱり会社のフェーズ的に800万を超える人をいきなり採用するっていうのはリスキーだよねという話をしていたので、結構それだけで避けたケースもあります
自己評価と客観的評価のどちらも高ければ、希望年収はガンガン高めでふっかけていいと思いますが、レジュメだけ読んでそれだけの価値があるって判断できないと結構マイナス評価になりがち
自己評価ができないんだと認識される
希望年収5000万、あ、はい、みたいな
未入力はわりと困る
レジュメだけで判断して、あなたたちの基準で評価して!っていうポーズなのは理解できますが、その肝心のレジュメが薄いと判断できなくなってしまいます
レジュメが濃ければ、自社で活躍できればこのくらいの年収になるよね、という風に考えることができるので未入力でも問題はなかったです
マネジメント能力が書いてある
スクラムマスターとかだと、なるほど、という感じがする
技術者を採用したいと考えている場合は正直あまり読んでない
レジュメ(特に年収評価シート)にマークダウン記法が利用されていない
単純に使われていないだけならまだかわいい
独自記法(例えば■とか△が使われている)だと敬遠する
めっちゃ頑張って書かれているけど、全部ただのテキストとして表示されているので読むのしんどい
要点が分かり難くなっているから、読むのを後回しにしがち
マークダウン記法は使っているけど、なにかがおかしい
例えば1,2みたいな数字での箇条書きを利用しているときに、1についてとかって書こうとしているんだと思うけど、そのまま3とか4って表示されてしまっている
プレビューで読み返してみてほしい
転職ドラフトはもうちょっと年収評価シートのところでプレビューがしやすいと嬉しい
現時点ではプレビューできず、保存をしないと読み直せない
キャラクター/やりたいことは結構正直にとります
規模で「大きな会社」に近い方はわりとあわないかもなーって思う
やりたくない分野に「BtoB」とか書いてあると、ちゃんと避けます
「使用言語にはこだわらない」が選択されているとRailsとかJavaの経験が多そうに見えてもPHPの勧誘するケースはあります
例えば、弊社のフロントエンドはVue.jsを利用しているケースが多いので、Vue.jsの経験がある場合はサーバーサイドの経験は多少無視したりします(PHPプロダクトだけ) 水とプログラミングどっちが大事?でプログラミングが選択されている
気持ちは分かる…が…水飲んで!
得意なフェーズが0-1によっている人
正直、結構多い
3年以内に海外で働きたいが選択されている
本当に3年以内に海外で働くのかどうかはともかく、弊社には海外の事業所や海外展開というのも直近で予定にない
そのため3年以内に転職される可能性があるので敬遠する
この項目はわりと本当にどういう気持ちでチェックされているのか分からない
転職ドラフトさんには是非3年後に本当に海外に行ったか調べていただきたく
OSSのコミッターである、がチェックされている
これ結構難しくて、例えば自分の作っているOSSだったら当然チェックが入ってしまう
あとはコントリビューターとコミッターを混同していて、チェックしているのでは?と感じるケースが結構ある
例えば、ドキュメントの翻訳プロジェクトにPR送ったりしてます、ってアピールされているケースとかは混同されているなーと感じます(実際に確認してみてもコミッターではなさそうだったりする)
なので、基本的にあてにしていないです
GitHubやQiitaのアカウントが書かれている
GitHubのアカウント見ても空が目立つケースが多い
あとforkしまくってるだけとか
空だからといってネガティブに評価することはないです
とはいえ、実力が読めなくなってしまい指名するのが難しくなります
逆に草が生えていればいいのかというとそういうわけでもない
草の量は正直評価していない
できればアウトプットについての説明を書いてくれると、どのリポジトリを見ればいいとか分かりやすい
その他にもコントリビュートしているプロジェクトがあれば、PRのリンクとか書いてほしかったりします
企業は何を考えて指名しているのか
ユーザーとして参加したことがある人だと分かると思うんですが、必ず指名理由というものを企業側は書いてきます。こういうのエンジニア的にはテンプレみたいなの送られてくると、めっちゃ嫌だと思うんですよ。僕も嫌だし。
この指名理由、書くのはめちゃくちゃ難航しました。正直に言えばほとんどの人に書けなかったです。なので、弊社の今回の指名数は4とかに収まっています。
何故、指名理由を書けないのかというと、転職ドラフトでは「企業が抱えている課題」ありきで話が進んでいて、「あなたなら私達の抱えている課題を解決できると思ったから指名しました」という形にならないとダメなんですよね。ということは、自社の課題を抱えている課題を解決できるだけの技術力があると、レジュメやGitHubなどから判断できないといけないわけです。これが難しかったです。技術力はあると思うけど、弊社の課題とはマッチしてなさそう、とかも結構ありました。
その他の指名数が伸びなかった理由としては、技術力が分からないから提示額を決定できないというのがありました。転職ドラフトは「年収と仕事内容が先に決定する」というのが売りだと思うんですが、肝心なユーザーのスキル/技術力が不透明なことが多いんですよね。普通、技術力が分かる、だから任せられる仕事を決定できる、それによって年収が決定される、という形になると思います。ですが、技術力が不透明だと、任せられる仕事が決定できず、そのため年収を決定することができないということになります。この場合、相手の技術力を仮定して、年収を無理やり決定することもできますが、そうなると選考の途中で課題を出したりすることになりますし、やっぱり技術力が思った程高くはなかったなーというときに、企業側としては年収を下げて提示しなおすことはできないため、落とすしかなくなります。
この他にも、自社の文化と合いそうかなどという点についても慎重に検討しました。
指名される側はどうしたらいいのか
大量のレジュメを読んで、指名理由まで必死に考えた僕が考える、指名されたいならこれはやったほうがいいというリストです。
とりあえず、レジュメを綺麗に書く
以下が非常に参考になる(し、まさしくこういうのが多かった… / 僕のも見直して書き直しますかね)
年収評価シート部分ではマークダウン記法を活用して、要点がまとめられていると好評価
本当に伝えたいこと/アピールしたい部分は3行程度の箇条書きで十分
年収が高い人は600字以上書いてるって煽られるけど、無駄に間延びするくらいならすっきりと書かれている方が印象良かったです
文字数稼ぎは無駄
しっかり書くと自然と600字を超えるっていうだけなので、無理に伸ばそうとする必要は全くない
年収評価シート、基本的に職歴を書くためのように見えますけど、わりと個人/趣味プロジェクトとか、普段取り組んでることを書いている人も多かった気がしました
なので、アピールできる程度にまとまってるなら書いてもいいかも?
GitHubなど技術力の分かるものをできるだけ開示する
正直、GitHubとかアカウント出してしまうと、匿名ではなくなってしまうわけですが、ないよりはあったほうが圧倒的に良いです
ブログとかスライドよりはコードが読みたい
インフラとかだとまた違うと思うけど
埋めれる項目は全て埋めておく
転職ドラフトはバージョンアップを都度行っているようで、設定できる項目が増えたりしているので、毎回参加する前に一度はレジュメを見直した方がいいと思います
案外書いてない人の多い項目が幾つかあるんですけど、書いてあると人柄が分かったりしてより指名しやすくなりますね
影響を受けた本とか、ただ本を列挙するだけじゃなくて、どういうところを良いと感じたのか書くと良い気がします
書籍名をあげるだけなら誰でもできるので、本当に読んだかどうか分からない
ちなみにやるかどうかはともかくとして、やろうと思えば適当な企業を狙い撃ちするようなレジュメが書けるはずで、転職ドラフトをハックすることは可能かもなーと思いました。
あとがき
企業側として参加する転職ドラフトはとても大変でした。僕はエンジニアですけど、採用活動に絡んでいくとまた違ったものが見えてきて面白いなあと思いました。
あと、今回特にClojureエンジニアの採用には利用しませんでした。Clojure書きたい系のエンジニアの方で弊社(当時、サイボウズスタートアップス)に興味がある方は、ayato-p.iconに直接声をかけていただくか、弊社の採用情報ページから直接応募していただければと思います :)