メタファー・リファンタジオを50時間弱プレイして感動し続けている
最近、メタファー・リファンタジオ(以下メタファー)というアトラスのゲームをプレイしている。この1週間、寝ても覚めてもメタファーのことばかり考えているし、会社の同僚にはひたすら「良い…」と伝える日々である。同社のキャサリンやペルソナ3,4,5を楽しくプレイしてきた(直近ではペルソナ3リロードをプレイしていた)ので、期待があったのはもちろんだがすべてにおいてペルソナを超えていてただただ感動している。 (実を言うとソウルハッカーズ2、十三機兵防衛圏なども買っているけど、積んでしまっているので真のアトラスファンとは言えない自覚はある)
約50時間プレイしてきたところで、私が何を良いと感じているかだいぶクリアになってきたので、少しだけまとめてみたい。尚、この投稿にはネタバレが含まれる可能性があり、この先を読む場合はメタファー内の日付で言うところの8/13くらいまでの話が書かれている可能性があると思って読んでもらいたい(書き終わるまで何が書かれるか分からない)。
純粋なファンタジーに垣間見える現実世界
純粋なファンタジーを起点にして始まる物語。8つの異なる種族が登場し、"ニンゲン"と呼ばれる怪物が暴れている世界の中で、王子を救うために主人公が奔走するというのがそもそも良い。8つの種族もいわゆる「ドワーフ」「エルフ」みたいな既存のモチーフをそのまま利用するのではなく、「パリパス」「クレマール」などの名前をつけて作り込まれているのがとても良い。新しい世界をしっかりと創造しているのが伝わるし、今の所設定が雑だと感じることもない。この感動は「圕の大魔術師」を初めて読んだときのそれに近い(これは完全に相対的な比較になってしまうが、最近流行りのいわゆる「なろう系」というものに代表される世界転生系だと使い古されたファンタジー設定が多く、ここまで力を入れて作り込まれた新しいファンタジー世界というのはなかなか多くないのでそれだけ感動している)。
描かれる種族間の格差や差別などは現実世界を彷彿とさせる。王権競技会に出てくる候補者は現代日本の選挙に出てきてもおかしくないような思想を持っていることも面白いところで、作中のキャゼリナは種族として短慮であることが書かれてはいるがその短慮さ故に国民の支持を得やすいキャラクターになっていたりするのもよく考えられていると感じる。
主人公の持つ幻想小説も意味深で明らかに現代社会を匂わせているように感じる(そもそもタイトル画面の背景もどちらかと言えば現代的)。幻想小説の著者であるモアは記憶を失っており、記憶を戻すためにも主人公が冒険する必要があるというのも良い。またプレイ当初に入力させられる主人公の名前ではない名前もまた意味深で、今のところまだ核心に迫れていないがこの後の展開で現実世界と接続されるのではないかとワクワクしている。
そして、王権競技会で日々使っている鎧戦車(ガイセンシャ)、これどうでも良いけど街宣車だと気付いたときのアハ体験は凄かった。主人公一行が変身(?)するときに使う覚醒器は拡声器だし。は言ってしまえば選挙活動を主人公はしているので、そういう細かいところも現実世界の選挙とリンクさせようとしてシステムに組み込んだんだと思うと流石と言わざるをえない。
残酷だが引き込まれる展開
最初に兵士として潜入した先で砦に連れて行かれ、そのままはじめてのニンゲン戦となる。歯の形をしたおばけじみた敵や鶏に人間の頭をくっつけたような敵と不気味さが光の速さで迫ってくる。この時点でホラーめいていて怖かったのだが、無残に殺されてしまった人々を乗り越えて砦の屋上でザクロのようなものを履いた脚が何本もあるニンゲンと戦い主人公のアーキタイプが目覚めることになる。この世界においてニンゲンという怪物がいかに強大であるかが示され、主人公がそこに立ち向かっていくことが示唆された。戦闘後グライアスと合流し、ともに国葬へ参加するため王都へ戻っていく。
国葬にてグライアスが王の魔法により捉えられ、ルイに殺されてしまうシーンは完全に予想外だった。長く仲間でいる感じでもなさそうだったとは思うが、それにしてもこのキャラクターをここでそんな殺し方をしてしまうのか、と思わず息を呑んだ。この後もキャラクターがガンガン死んでいく。ペルソナ5でもここまで重くなかったぞ、とは正直思う。鴨志田の話で女生徒が飛び降りた話と同じかそれ以上の衝撃が続く。マルティラで描かれたジョアンナの話はなかなかに壮絶で、異種族間のハーフが忌み子とされるのはよくある設定だが、そこにニンゲンを加えるとここまで恐ろしい話になるのかと。
文字通り登場人物たちそれぞれの物語が折り重なって、ひとつの重厚な物語が描かれている。アニメ演出も多く、このあたりはキャサリン的な演出だなと感じるし、CGでキャラクター達が話しているシーンなんかは三人称視点のカメラがわずかに揺れていることで臨場感というか自然さを出しているのもうまい。
プレイヤーを殺して分からせる
最初に馬車から投げ出されて、早々に敵に囲まれているところから走って抜け出せないといけないんだが、3秒で殺されてデッドエンド画面を見せられる。大人しく指示に従って逃げれば良いんだろうが、やはりゲーム好きとしては(?)モンスターに出会ったら倒したくなるモノでフィールド上で攻撃と回避があるのが分かり倒せるかもと殴ってみたら都合4,5回ほどデッドエンド画面を見せつけられた。
メタファーではフィールドアクションとコマンドバトルがうまく協調していて、これはペルソナ5よりフィールド上の動きが重要になっていて面白い。一見すると雑魚敵なのに、先手を取られてしまうと負けることが多く(負けなくても瀕死相当に追い込まれる)、序盤の鳥型のニンゲンには何度やられたか分からない(マジでムカつく)。大聖堂で挟撃されたときは何度やってもうまく倒せなくて苦労した。
全滅しても近場や最後のセーブポイントからやり直しがきくので、不必要に恐れる必要はないが先が見えていないことも多くどこまでやり直しが効くのかというのは常に頭の片隅にある。目の前の強敵を全力で倒して良いのか、余力を残しておかないといけないのか、このあたりのバランス感が絶妙。
アーキタイプをフィールド上で付け替えられるのは、この死にやすさと戦略の重要性を考えると必須だったのだろうと感じる。
いわゆる死にゲーと名高いフロムの名作ゲームを彷彿とさせるデッドエンドとデスペナルティなしで近場から復帰できる仕組みを採用しているのはRPGにしてはシンプルに凄いなと思った。死ぬ度にモアに煽られるのも良い。
ダンジョンに行くために3日かかる
ペルソナシリーズでお馴染みのカレンダーシステムがメタファーでも導入されていて、ペルソナファンとしては馴染み深い設定だし、分かりやすかったと思う。暦も日付は馴染み深い日付を採用しつつ、曜日や週は独自の概念だったのはファンタジーのこだわりを感じられて良かった。このカレンダーに関する仕組みも当然のように進化していてよく考えられていると感じた。
ペルソナシリーズであればダンジョンは毎日行けるものと相場が決まっていて(?)、一度の潜入でどれだけ深く潜れるか、残るはボス戦のみ!という形にどれだけ早く持ち込めるかが攻略の鍵になる(と思っている)。そのため私の場合、できる限り早期に(月齢なども見つつ)潜ってひたすらレベルを上げるということをして、残りの学生生活でコミュのランクを上げたりしていた。
メタファーはそこに移動日の概念が追加される。ダンジョンが固定ではなく、複数の場所に点在しているのと拠点となる街からは鎧戦車での移動となることがある。街から直接いけるダンジョンもあるが、クエストが絡むと街から離れることが多い。
鎧戦車で移動となると1~3日ほど移動に費やされることになる。後述するがメタファーはキャラ育成とバトル難易度のバランスが絶妙で、クエスト攻略などをしながらキャラクターやアーキタイプを育てる方がメインストーリーをある程度楽に進めやすくなっている(実際に仲間からクエストに行くことを提案されもする)。
クエスト攻略のためにダンジョンに向かいたくなる力学が働くように設計されているわけだが、ここで難しいのはカレンダーシステムとの兼ね合いである。ペルソナシリーズ同様、期日が決められてある日までに目標を達成する必要がある(もしくは単に自由時間となる)。このときに3日かかるダンジョンに行くか、というのはかなり悩ましい。何故ならそのダンジョンを攻略できるかが実際に潜るまで不明瞭なのだ。
ペルソナシリーズのダンジョンは線形に難しくなっていく。階層が深くなればなるほど敵が強くなるので分かりやすいし、敵の強さを一定見積もれる。しかし、メタファーは少し事情が異なる。実際ブライハーヴェンから塔にいきなり挑むとかなり苦戦を強いられる(強いられた)。一応街の中の前評判やクエスト難易度である程度の強さは見積もれるが、やってみないと分からないというのが正直なところ。
この要素のおかげで日々をどう過ごすのか、というのをペルソナシリーズ以上に考えねばならないというのは面白さを感じているところだし、よく設計されているな感動しているところになる。ペルソナシリーズでもあったことだけど、これ下手すると詰むんじゃないかと思ってこまめにセーブデータを作るようになってしまった。そのくらい日々の過ごし方にプレッシャーがかかっている。
戦略性の高いコマンドバトル
JRPGの代名詞とも言えるコマンドバトル。今作はかなり戦略的に戦うことが求められている。記憶が比較的あるP5やP3Rに比べると天と地ほどの差がある(大袈裟)。ペルソナの場合ある程度スキルをすべての属性揃えてしまえば、ダウン取って総攻撃の流れを作りやすく、パターンが作れてしまえばそこまで苦労しなくなる。
メタファーではプレスターンバトルが採用されている。私は初体験ではあったけど、真・女神転生シリーズでは前からお馴染みのシステムらしい。プレスターンバトルは最初かなり分かりにくく、画面上に表示されているプレスが減っていくとターンが切り替わるという仕組みになっている。このプレスの増減をうまく使うと戦闘を有利に進められるわけだが慣れるまでが難しかった。
通常、攻撃をするとプレスが消費されるが、弱点をついたら小さいプレスが付与され、攻撃を外したり反射されてしまうとプレスが倍消費されてしまう。ジンテーゼ(要は合体技)は2人分のプレスを消費するが、超特大ダメージや耐性貫通攻撃ができるというのも、戦略性を増すことに寄与している。
このプレスターンバトルは弱点ついたら総攻撃できるペルソナに比べると圧倒的に難しく、命中率や回避率が戦闘に与える影響が大きい。敵味方ともにプレスが重要性になっている。特にプレスが倍の敵と遭遇したときが厄介(バフ→攻撃、弱点→全体→強攻撃など)なのだが、それを封じるためにも挑発して攻撃を集めて回避したり、敵の行動を封じる攻撃が有効になる。ミミック系のモンスター(模宝イミテックや秘宝イミテクスなど)はディーラーのお金を投げる攻撃によって実攻撃回数を減らすことができる(プレス2つは変わらないが1ターンがお金に気を取られて行動不可になる)。
後述するアーキタイプとの兼ね合いもあって、コマンドバトルが奥深いものになっているのは間違いない。
装備としてのアーキタイプ
ペルソナシリーズでは主人公だけが特別にペルソナを変えることができる。そうすると自動的に主人公の役割は大きくなっていき、強いペルソナを複数体保持して戦況に応じて変えていくというのが基本の戦い方になると思う(もちろん他のキャラをサポートに入れるのは余裕をもたせるために重要なんだが…)。
メタファーにおいてはアーキタイプがすべてのキャラクターで交換可能ということになっており、キャラクターごとに"履修"して育成する必要がある。ドラクエ7の職業システムに近いと思う。アーキタイプは万能ではないので、それぞれのキャラクターに初期で装着されているアーキタイプだけ使っていても攻略できる気がしない。
このアーキタイプの仕組みは本当によくできていて感動する。ドラクエ7だと全員羊飼いに就職させて、怒涛の羊をマスターするだけでゲームをクリアできてしまうわけだけど、メタファーでは今の所そういった万能感があるアーキタイプはない(もしかしたら後半出てくるかもしれないけど)。
すべてのアーキタイプが各クエストで必要となっていて、盗賊や商人のようなアーキタイプを習得していないとクリアすることすら難しいダンジョンが次々と出てくる。メタファーはかなり意図的にレベリングがしづらい構造を作っていると思っていて、例えばブライハーヴェン近郊のグラシア密林ではマンジュラのようにその時点のレベルではまあまあ苦戦する(ノーダメで倒せてもMP消費がそこそこ必要になる)敵が出るようになっていて、安定して雑魚だけをそこそこ大量に狩り続けることが難しくなっている(最序盤の大聖堂の犬や砂漠の虫はまあまあ使えたけど)。このレベリングしづらい構造というのがアーキタイプを習得するモチベーションに繋がっている。脳筋グーパンができないからこそアーキタイプをうまく活用するしかない、というのが本当によくできていて感動する。
上位アーキタイプを開放したり、継承技を覚えさせるために支援者ランクをあげる必要があるのも、ゲームを隅から隅まで楽しんでほしいという意思が感じられる。たいていのことはうまく連動しているので、トータルのストレスが少ないように感じている。
まとめ?
メタファーがとても面白く感動しているということをひたすら書きたかっただけなので、あまりまとめることはないんですが、本当に良ゲームだと思う。「rpg.jp」というドメインを取っていることから分かるように、「これが本当のRPGだ」と言わんばかりである。 私のメタファーでの冒険はまだまだ続くし、きっとこの感動が続くのだろうと思っている。ゲームを終えたら「RPGのつくりかた」をしっかり読もうと思う。