ドキュメンテーションツールは乗り換えてはならない
会社で利用している文書(ドキュメント)を溜めていくツールがある。日報だったり議事録だったりDesignDocだったり。
そういうドキュメントをためていくツールがあって、Google DocsとかNotionとかesa.ioとかCocenseとかを今日日利用しているわけです。
それらのツールが会社によってはひとつに統一されていたり、複数利用していたり様々あります。様々があってドキュメンテーションツールを移行したいという話があったりもするわけですが、僕はこれには反対を表明する立場を示すことが多いです。
大まかに3つの理由があります。
コストに見合わない
ツール毎にお作法が違ってドキュメントの構造が壊れることがある
乗り換える理由を深掘りしていく必要がある
コストに見合わない
近年のツールはExport機能が備わっていて文書だけじゃなくて画像までも書き出してくれることがあります。
けれど、ドキュメント内のリンクが壊れてしまうこともあるのでそれを変換するスクリプトを書くことがあります。
画像のリンクも置き換えが必要なこともありますし、ドキュメントを書いた人の情報を持って移行先でも書いた人を復元することは可能でしょうが、では退職してしまった人だった場合はどうでしょうか。また、編集履歴をもっているツールであればその編集履歴を移行することはほとんどのケースでは不可能でしょう。編集履歴が欠落すると文書の歴史がそこで一度途切れてしまいます。移行が完了すると古いツールは解約されてアクセスが不可能になりますので、新人が入ってきて文書を読んでなぜこうなっているのか?と思って過去の情報を遡ろうとしても編集履歴が欠落しているので経緯がわからなくなります。特にこのリスクは在職している人には感じにくい部分で進行してしまいがちです。
ツール毎にお作法が違ってドキュメントの構造が壊れることがある
ドキュメント内のリンクや画像のURLが壊れるのは先に述べた通りですが、それ以外にもツールによっては階層構造があったりなかったり、データベースの機能があったりなかったり、リッチエディタで素朴にMarkdownを移行すると壊れたり壊れなかったりします。
また、そのお作法の違いによる学習コストとして再度組織のメンバーが、それを払うことを覚悟する必要があります。エヴァンジェリストがいればその限りではありませんが、その分ドキュメンテーションツールの乗り換えにかかるコストは増大します。
乗り換える理由を深掘りしていく必要がある
これを深掘っていくことが乗り換えてはならない理由に一番早く近づけます。そして合理的な判断ができるような精神状態を維持する必要があります。
乗り換える時に機能のマルバツ表を参考にするのは最悪のパターンです。ドキュメンテーションツールを作ってるのも我々と同じ人間です。対話をしろ。ソフトウェアの進化を信じろ。
料金が高いので今より安いツールに移行するのよくないパターンです。ドキュメンテーションツールはそこに貯まっていることが既に組織に対して利益を生んでいることを理解するべきです。ツールを乗り換えてその利益を破壊する意味はない。
複数にまたいでいるから統一したいというパターンは、ちょっとわかる。けど、LLMの登場によって複数のツールをまたいでドキュメントを探すことが徐々にできつつあるなと思います(ソフトウェアの進化を信じろ系)。また、職種によって使いやすいツールは違うとも思うので、複数にまたいでツールを使い分けるのはあってもいいなと感じます。ソフトウェアエンジニアだとプレーンテキストだと嬉しいのでesa.ioとかscrapboxだと嬉しいですが、データベース機能を使ってマーケティングの管理をしたいとなればNotionやCraftがいいでしょうし、どちらかに統一するために内包的なツールを選ぶのは「マルバツ表で選ぶ」というアンチパターンにも関わってきます。複数に分かれる時にどちらのツールにもメンバーが全員フルアクセス出来る方がいいでしょう。