アラーキー
Nobuyoshi Araki
1940年生まれの写真家荒木経惟の愛称。
千葉大学を経て電通にカメラマンとして入社した荒木は、1964年に作品「さっちん」で、太陽賞を受賞しデビューすることになるが、写真界にその存在を鮮烈に刻むのは、妻・陽子との赤裸々な新婚旅行の道程を活写した写真集『センチメンタルな旅』(1971年に私家版として刊行)によってである。
荒木が撮影する被写体は、素人や少女を含む女性のヌードを中心とした人物写真から、女性器の接写、花などの静物写真、東京を中心とした都市の風景写真など多岐にわたるが、その一貫したテーマは、生と死、エロスとタナトスであると言ってよいだろう。その評価は国内のみにとどまらず、海外でも高い評価を受けており、ヨーロッパ各国での展覧会も多い。
スキャンダラスな写真家にして、人口に膾炙する1980年代初頭より「荒木」と「アナーキー」のもじりである「アラーキー」で知られるようになり、今日に至っている。ユニークな語り口やファッションセンスによって、「アラーキー」は日本の写真界においては希有なキャラクターになっている。
参考文献
『荒木! 「天才」アラーキーの軌跡』,飯沢耕太郎,小学館文庫,1999
『荒木本!1970-2005』,飯沢耕太郎編・著,美術出版社,2006
『荒木経惟 生と死のイオタ』,伊藤俊治,作品社,1998
著者:土屋誠一