『アートフォーラム』
Artforum
アメリカの現代美術誌。モダニズムからポストモダニズムに移行する1960年代から1970年代初頭のアメリカ美術の趨勢を、貴重なカラー写真や若手批評家、作家の論考などによってドキュメントしたことで知られる。
サンフランシスコでフィリップ・リーダーとジョン・コプランを中心に1962年に設立され、1967年からはニューヨークに拠点を置く。モダニズム以降の美術批評や現代美術の現状に即したアート・ジャーナリズムの在り方が模索されるなかで、当時の先鋭的な美術作品と理論の紹介に努めた。特に60年代には若手批評家のマイケル・フリードが重用され、初期の批評の発表の場となった。67年にミニマリズムを批判する目的で書かれたフリードの「芸術と客体性」も同誌に掲載されたが、同時期にはソル・ルウィットやロバート・スミッソン、ロバート・モリスら、フォーマリズムに敵対的な姿勢を持つ作家たちが次々と同誌に論考を寄稿し始め、次第にミニマリズム以降のポスト・モダニズムの諸現象を記録する媒体に変化していく。
しかし雑誌の理論的側面は次第に硬化し、その編集体制に不満を抱いた同誌編集者のアンネット・マイケルソンとロザリンド・E・クラウスは編集部を退任。1976年に『オクトーバー』誌を創刊した。
著者:沢山遼