金森修
金森 修(かなもり おさむ、1954年(昭和29年)8月4日 - 2016年(平成28年)5月26日)は、日本の哲学研究者・評論家。
1980年代から1990年代前半にかけてエピステモロジー(フランス系の科学思想史)を主に研究し、ガストン・バシュラール、ジョルジュ・カンギレムなどの導入を行った。その際、よく準拠した科学は主に医学と生物学であった。その後、一時期、科学社会学的動向にも注意を払ったが、2000年代前半にはより古典的な哲学史研究や、生政治学・生命倫理学に関心を移動させている。ただ、それらの作業全体の背後には、フーコーから学んだ問題関心が利いている場合が多い。特に2000年代後半では、人間と非人間、あるいは準人間との境界領域が孕む諸問題を、具体例を挙げて論じようとしている。ユダヤの特殊な泥人形ゴーレム、それに〈人間未満の生物〉としての動物一般についての考察などが、その具体的な成果である。『ゴーレムの生命論』や『動物に魂はあるのか』は、人間と非人間との境界を探る一種の〈亜人論〉を構成していると位置づけてもよい。他界後、『昭和前期の科学思想史』に基づいた英訳が出版された。