逃避
昨日は昨日にとって今日で
今日は昨日にとって明日で
明日は明日にとって今日で
今日は明日にとって昨日で
それは誰もが知っていて
それが当たり前の世界で
どうして、世界はこんなに奇妙なんだろうなあ、と
おでこの辺りでぽわぽわ考えながら
意味もなくキーボードを叩く
いま2:35
・・・
・・・
・・・
2:36
嗚呼だめだ、とぼやいて全選択
backspaceに八つ当たり
一字一句と違わない文を
どこかで読んだ気がする
さいしょの一文をネット検索
ほーらあるじゃん。
これじゃパクリと変わらない
いくら必死に思考を回そうが
なにもかもにもう先達がいる
何十何百何千億年の宇宙の歴史
何十何百何千人の天才たちが紡いだ歴史
敵うわけなんてないんだけどさ
張り合おうとしたって無駄なんだけどさ
ただの凡人の、たった13年間でもさ
無価値、と認めるのはイヤなんだよ
何もできない僕からなら、なにを持ってってもいいけどさ
脳と指だけは残してよ。
ぼくのなにかが形になるまで
僕の命が尽きるまで
なにかを つくるために
いのちを もやすために
怪物の爪痕の付いたガソリンを
プルタブ起こして身体に注いだ。
部屋にある小さい窓の外が、真っ白になっていた
自分の目がおかしくなったのかと思った
一瞬、あまりにも白すぎたので、天国にきてしまったのかと思った。
まぶしかった
気付いた
朝だった
逃げた
狭い狭い押し入れ
スマホを持ってくるのは忘れなかった。
顔が、人工的な光に照らされる
安心した
今日も、画面の中の鳥を触る。
真っ青な鳥だ。
チルチルとミチルが追い求めたような、青い鳥。
その青さ
荒れ狂う青い深い海に溺れた。
冷たい、光の届かない深海に沈んで
また
夜が来るのを
うずくまったまま
待った。
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