箱男と所属

箱男の帰属意識

ワッペン乞食。日の丸の小旗。

P30……心の方向感覚の麻痺→「箱男がホームレス同然なのに箱の中にいると落ち着く(落伍者感覚がない)」ということなのか？

P40……時間感覚の麻痺→「時間がすぐ経ってしまうまたはその逆」ということなのか？

箱男になって時間が止まっている。

P186の名古屋高裁判例を箱男に当てはめると

一、箱男は不治の病におかされている。上記参照。

二、箱男は苦痛を受けている。最初の夏など酷かった。

三、箱男としての苦しみの解消は箱男としての死しかない。

四、Ｃ（あるいは軍医）は「医師」である。

五、自分で箱を脱がせればよい。あるいは、Ｃが本物の箱男になり、ぼくを贋物にしてしまえばよい。

以上のことから、軍医の贋物であったＣが軍医を安楽死させることでぼくもまた安楽死させ、本物の箱男になったという読み方を考える。

贋物の箱男とはなんなのか。彼は見ることをやめ、看護婦と密着して過ごすが、（坂の上の病院という箱の中の袋小路へ）去られてしまう。ぼくは箱の中へと彼女を探しに行く。そこでまたしても病院行き（救急車のサイレン）である。

箱の中をカスタマイズしてこだわりをみせている。

Ｐ97、Ｐ136、137に垢を洗い流す描写がでてくるが、「浮世の垢を洗い流す」という言葉を連想した。しかし逆に、ぼくは垢を洗い流すことで社会に復帰しようと（箱を捨てようと）しているのである。

外から見たら「みんな等しく箱男」ですよね( ꒪⌓꒪)

箱男になると行方不明扱いなのかな？

箱男は青虫から蝶への変身の過程みたいな。

箱をトンネルに例えているのもありましたね。新潮版だと93くらいで。。矛盾というか葛藤のようなものを感じますね。

トンネルの出口云々は復活を目指してると言えるのかなと思いつき。

光を遮断する箱を被っている人が光を求めるってのは表現として面白い。

極論関わりを持てるなら誰でも救済？になったのかな。　

逆に言えば内面がどれだけ汚れていても箱さえあれば文字通りカバーされる。すごく人間的な気がしてきた。

中途半端なんですよね。もしそうなら箱から出ようとは生涯思わない。

ワッペン乞食や空気銃男のように、箱男を認識する人間もいるというのも考えないと。

外でダンボールに引きこもるという技もレベル高い。

日曜だけ箱被って出るとかでいいのにとは思う。だって匿名になるにあたって不潔になる必要はないんですよ。

そして軍医は記述だとそれに近い感じだった。

箱男は金かからないですもんね。箱男は存在感の薄さから盗みしてますよね笑(だから金がかからないのだけど窃盗じゃんと思った記憶)。

私の結論としては、一度箱を被ったものはあらゆる死に方で死に、しかも死ねない、という感じですね。このへんが魚の夢とつながるかなと。

魚の夢の例では、確かに箱男はどこまでいっても箱男のままなのだけど、Bの場合で箱男の死骸(取り残されたボロボロの箱)が発見されてるじゃないか。ん〜？？と思いました。矛盾してる？つまり箱男は箱から抜け出せるじゃないか？本当にどこまで行っても箱男なの？となる。

箱を処分した男の話になっちゃうんですね。箱から出るということが箱の中の出来事になってしまう…。

安部公房は死んだが、箱男を書いた安部公房は二度と消えない。