無意志的記憶
無意志的記憶とは、過去と現在の感覚の同一性ないしは類似性に引き寄せられて、過去の一時期の回想がおのずから蘇ってくる現象である。たとえば、現在味わいつつある紅茶とマドレーヌの味と香りが、かつてそれらを味わったときの記憶──コンブレーで過ごした幼い頃の記憶──を蘇らせるというふうに。そのように無意志的に蘇った回想だけが「真実性のしるしを帯びている」、それに対して、意志的な記憶、知性による記憶によっては、真の過去はけっして蘇らない、とプルーストは言う。 自分の場合、昔聞いていた曲を久しぶりに聞いた時に起きる気がする