炎上とバズ
双方ともに、インターネット上で情報が急速に拡散され、多くの人がそれについて語っている状況を示す言葉である。
炎上とバズの違い
炎上
なんらかのコンテンツや誰かしらの言動などが急速に広まり、多くの批判が行われている状況を指す言葉。
バズ
なんらかのコンテンツや誰かしらの言動などが急速に広まり、肯定的に語られている様子を指す言葉。
Buzz(蜂が群れている音、群衆のざわめき)を語源とし、「バズる」「バズった」「バズりてぇ~」などのように使われる。
なぜ炎上が発生するのか
『多くの人の感情を害する行為』や『社会倫理上許容されない行為』を行うと燃えやすい傾向にある。
また、炎上の対象が個人や団体といった形で特定できることも要因の一つである。(独自研究)
例1
「捨て猫を拾って育てることにしました」という名目でひとりのyoutuberが生まれたが、炎上した。
最初はその美談が話題になってバズる気配があったが、「捨て猫のくせにきれいすぎる」「入っていた段ボールが汚れてない」「偶発的なyoutuberデビューにしては機材がしっかりしすぎている」「デビュー直後に大手youtuberに宣伝されているのは仕込み臭い」などから、「子猫を買って捨て猫に偽装して耳目を集め、華々しいyoutuberデビューを計画したのではないか」と批判されて炎上した。
最終的にそのyoutuberは「猫は大切に飼わせていただきます」という言葉を残して、動画とツイッターを削除した。
いわゆる「ステマ」を嫌う大勢の人たちの感情を害したことから炎上が発生している。
例2
芸能人の不倫、セクハラ、差別発言などの問題行動も炎上しやすい。
説明するまでもなく社会倫理上許されない行為であり、多くの人の批判を集めやすい話題であるためよく燃える。
また、アイドルの恋人発覚で炎上するパターンもある。
こちらはファンの人たちの感情を害する行為ゆえの炎上といえる。
ちなみに女性バーチャルyoutuberは男性バーチャルyoutuberとコラボ配信をしたことが理由で燃えたりする。
例3
署名サイトにて、亀田製菓とブルボンに対し「過剰包装をやめてほしい」という署名を集めて送った高校生がネット上で話題になった。
ツイッターではこの高校生の意見に賛同する人たちと、「でしゃばるな」「考えが浅い」などと否定した人たちと、強い語気での批判を批判する人たちのように、周りの人たちが騒ぎ立てて炎上の様相を呈していた。
これについては当該高校生がツイッターで過剰包装廃止を呼びかけたわけではなく、署名サイトで行われている署名活動がツイッターで話題になった形であったため、直接的に高校生が炎上することはなかった。
この事例は「炎上」とも言えるし、「議論を呼んだ」だけとも言える。
もしこの高校生のツイッターアカウントが存在していたら、間違いなく炎上していただろう。
※あとできれいにまとめたいやつ
炎上の対象(叩く対象)がインターネット上に存在しない場合、多くの人の批判を買うような何かがあっても「炎上」とは呼ばれにくい(気がする)
犯罪となる事件、事故の逮捕者について、話題になることはあっても「炎上」は起こらない(?)
→いや起こるわ。煽り運転罪のきっかけになった人間は個人情報特定されて炎上してた
ただそれも凸る対象のSNS(ブログ?)が特定されたから炎上したので、やっぱり対象がインターネット上に存在しないと燃えにくい気がする
企業なら電凸とかされるけど
なぜバズが発生するのか
刹那的に消費される面白いコンテンツを簡単に共有できるから。
短い時間で感動するなり笑わせるなり気づきを与えるなりして心を動かすようなコンテンツがバズを発生させる。
ネット上で見ることのできるマンガやコラム、またはそれらのスクリーンショットなどがバズりやすい。
数秒~1,2分程度の短い動画もバズりやすい。6秒動画で有名になったVineや、ショートムービー投稿サイトのTikTokなどはバズの温床(金鉱?)だった。
例1
春日部駅に掲載されたクレヨンしんちゃんとのコラボ広告はバズった。
「男は仕事、女は家事」という古いジェンダー論にやんわりと疑問を抱くしんのすけの言葉が、SNSで大いに拡散された。
映画などの刹那的に消費できない面白いコンテンツが広く共有されることは「流行」と呼ばれる(気がする)
例2
映画『プロメア』や『ガールズ&パンツァー』についても上映期間の延長や応援上映などがインターネット上で大きく話題になったが、こちらは「流行」の部類に入る(気がする)
ただし、映画の短い予告ムービーなどがインターネット上で多く共有されることは「バズる」といえるだろう。
『アングスト/不安』という一家惨殺事件をモチーフにしたホラー映画の「犬だけは無事」というショートムービーが公開された際は大いにバズり、犬好きの人々に安心感を与えた。
例3
アマビエも怪しいところではあるが「流行」の部類だろうと思う。
ただし、アマビエを最初にツイッターに持ち込み、広く知られるきっかけになったツイートについてはバズったと言えるだろう。
例4
MeToo運動、KuToo運動はバズと言えるだろうか。
きっかけは誰かのツイートがバズったことかもしれないが、それ以降は「広く知られて流行した社会運動」と呼ぶのが適切なように思う。
例5
(炎上する前の)100日後に死ぬワニは、バズというより流行だろう。今季一押しアニメみたいな感覚。
炎上とバズの功罪
炎上の「罪」とバズの「功」については言うまでもないので、炎上の「功」とバズの「罪」について述べる。
炎上の「功」
悪いことではないが一部の人から反感を買うようなことで炎上してしまった場合、一時的に批判に晒されるがあとから擁護が増えて、結果的によさが認められて知名度と評価が向上することがある。
または、なにかしらの失策によって炎上した場合、その後の対応によっては逆に評価が上がることもある。
詫び石配布とか
批判意見が多くなること以上に知名度の向上が利益になると判断した場合、あえて炎上するような行動をすることで注目を集める「炎上商法」「炎上マーケティング」と呼ばれる手法が行われることもある。
過激発言を繰り返して頻繁に炎上する人物は、100人のアンチを作りつつも1人の狂信者を生み出すことを狙っているのかもしれない。
バズの「罪」
作り上げた作品が多くの人の目に晒されることによって、賛辞の声が圧倒的だとしても批判意見も増えてしまう。
その結果、作品を削除したり謝罪したり、それが原因で活動を休止してしまうこともある。
創作などをしてない一般人の何気ない発言がバズった場合、バズる(=有名になる)ことの利がないため、悪い部分のみがフォーカスされる。
バズることで、賛辞にせよ批判にせよ多くの意見が寄せられてしまう。それらに対しスルーを含めて適切に対処できれば問題ないが、批判意見に噛みついたり批判意見を晒し上げたりしてしまうと、逆にその行為に対する批判が増えてしまって泥沼に陥ることがある。
また、自分はスルーできても外野が勝手に戦い始めることもある。まじ地獄。
雑感
この記事のゴールはどこに置くべきだろうか
少なくともバズり方講座や炎上回避マニュアルにはしない。そんなことができる力があるのなら喜んで企業に売り込みに行く
エンゲージメントの有無がバズと炎上の境目の判断要素になるかも
参考文献
田中辰雄『ネット炎上の研究』2016年 勁草書房