朗読をはじめたとき
理由はなんでもいい。
なんとなく声が出したくなったとか、脳トレとか、滑舌をちょっとよくしたいとか。
僕は歌が好きで、言葉にもっと触れて、その温度や空気を声で出してみたいと思ったからだ。
初めの頃の朗読は僕にとって歌が上手くなるための通り道でしかなかった。 とりあえず一日五分くらい、朝起きたときに読みたかった作品を手に取って音読する。
あきたらやめる。今日は読みたくないと思ったら読まない。
なんとなくをなんとなく続ける。最初はそんな感じで。続けようとしなくていい。
朗読をはじめて最初に感じたメリットは朝やると頭が起こしやすいことだ、
次に感じたのは前よりしゃべりに詰まらなくなったこと。
おかげでモチベーションは維持できた。大きな変化ではないが成長を実感できた。
少しずつ朗読する時間が増えていき、もっと上手く読みたいという気持ちが芽生えた
どうやれば上手くなれるかを考えつつ、自分がやりたい朗読を模索した。
もっと鮮やかに、もっと大胆に、もっと明瞭に、作品をもっと面白く読みたい。
そのための技術を練習したが、途中で成長は止まった。
これ以上はもう、続けるのは苦痛で、朗読をしない日が何日も続いた。
だけどやっぱりしたいと思った。
作品の描く世界、空気、温みと冷たさやさまざまな感覚が忘れられないからだ。
そうして続けていく内にまた少しずつ成長したと思う。
技術に固執したせいで、作品への執着を忘れてしまっていたのだ
このタイトルの好きなところ、この文章の大切だと思うところ、このセリフ
作品の中にある自分の好きを表現すること、それが良かったのだ。
好きをその瞬間にどれだけ詰められるか。それが大事だったのだと思う。
作品の面白さと僕の気持ちを同時に伝えることができる。
好きなものの好きを表現しながらコミュニケーションができる。そんな面白さだと思う朗読は