新しい人間
(独)der neue Mensch
新しい価値体系を打ち立てる人間を意味する概念。表現主義運動の重要モチーフの一つ。 もともとは宗教の領域で用いられており、当初は救世主を、次いで信者を指していた。 その後、ニーチェの思想を重要した若者たちによる表現主義運動の中で、既存の諸価値を破壊し新たな価値を創出する「超人」、あるいは既存の諸価値の重さから解き放たれて新たな価値を軽やかに作り出す働きを表す「遊戯」の性格が付け加わる。 ゲオルク・カイザーが戯曲『カレーの市民』の中で共同体のために自らの生命を犠牲にする一市民の死を「新しい人間」の誕生として描き、これ以降「新しい人間」の姿は共同体と個人との相関関係の中で模索されることになった。 関連書籍