小島信夫に学ぶ①
だから『こころ』でもそうだけど、読者がよほど用心して読まないといけません。そこにお直(『行人』の登場人物)はいないけれど、お直がいたら反撃するんだというふうに読む力を持っているとすれば、それは全体を読んでいるということになるんです。全体を読まずにその部分だけを読んでいると、読み落としが起こる。それは『こころ』でも同じなんです。『こころ』はそこが大事な点になっているわけです。そこにいない人間の立場で読むという態度を取れば、すぐにいろいろ補うところが出てきます。で、作者も、それぐらい補うだろうと一般に思って、あるいはそう感じながら書いている。 『こころ』『行人』は夏目漱石の小説です
小説の中で一人がしゃべってたりしてるとき、そこに不在の人間の立場を想定して読むのは大事っていうのは確かにと思いました 別の作品の人間だったらどう考えてどう反応していたかとかも考えるのは楽しい
創作にも役立ちそうな予感