大器晩成
大きな器は完成するまでに時間がかかることから、真に偉大な人物も大成するのが遅いということ。大人物は遅れて頭角を現すということ。才能がありながら不遇である人に対する慰めの言葉としても用いる。▽「大器」は偉大な器量をもつ人。「晩成」は多くの時間を費やして成就すること。
(漢文) 大方無隅、大器晩成、大音希聲、大象無形。
(岩波文庫書き下し文) 大方は隅無く、大器は晩成し、大音は声希かに、大象は形無し。
(岩波文庫現代語訳) 大いなる方形には角がなく、大いなる器はでき上るのがおそく、大いなる音声は聞きとれず、大いなる象には形がない。
岩波文庫の注釈によると、
「器」は完成した形であってこそ「器」であるが、「大」がつくと無限の意味が加わって、完成しないということになる。「晩成」は、おそくても完成するということであるから、肯定の意味であるが、元来、大いなる器は完成しないというのが『老子』の本義であった。