囚人のジレンマ
囚人のジレンマ(しゅうじんのジレンマ、英: prisoners' dilemma)とは、ゲーム理論におけるゲームの1つ。お互い協力する方が協力しないよりもよい結果になることが分かっていても、協力しない者が利益を得る状況では互いに協力しなくなる、というジレンマである。各個人が合理的に選択した結果(ナッシュ均衡)が社会全体にとって望ましい結果(パレート最適)にならないので、社会的ジレンマとも呼ばれる。 AとBが共同に銀行強盗(刑期:5年)をしたとする。警察は彼らの仕業と知っているが、証拠不十分だ。しかし、ささやかな麻薬の常用癖はつかんでいて、ある日アパートを捜索し、AとBを薬物所持(刑期:1年)で告発できるだけの証拠を見つける。二人は警察署に連行され、別々の取調室に入れられる。やや遅れて入ってきた警官がとある取り引きを持ちかける。
「おまえ(A)は薬物の所持で告発され、一年はムショ暮らしになるだろう。だが、もしも銀行強盗の仲間に不利な証言をする気なら、こっちはおまえの告発を取り下げる。しばらく考えてみろ。また戻る」。
このとき、Aには4つの選択肢がある。
証言する→◯、証言しない→×
A:◯、B:×→刑期:なし
A:×、B:×→刑期:1年
A:◯、B:◯→刑期:5年
A:×、B:◯→刑期:6年
もちろん2人とも黙秘すれば刑期は1年だが、Bが黙秘するかわからない状況に置いては、AはBが自白しようが、黙秘しようが、合理的に自白する方を選んでしまう。