反出生主義のバリエーションと誕生肯定
誕生否定
「“私”は生まれない方がよかった」→これは反出生主義ではない?
「“人間”は一般的に生まれるべきではない」
出産否定→新たに人間を作り出すことを否定する。
「子供を作るべきではない」
誕生否定の思想は、古代から文学や哲学において説かれ続けてきた(現代において突然現れ出たものではない)。
逆に、「誕生肯定」に関しては森岡は次のように書いている。
私が「生まれてこなければよかった」と心の底から思うとき、私は自分が彼らと共有した幸せや喜びの時間もまたなかったことにしたいと願っていることになる。これは、私と過ごすことでほんのひとときであれ幸せや喜びを感じてくれた彼らに対する、一方的でひどい暴力のようにも思われるのだ。「生まれてきたこと」も肯定できず、「生まれてこなければよかった」と思うことも肯定できないとしたら、私はいったいどうしたらいいのか。一つの可能性は、「生まれてこなければよかった」という暗黒をいったんくぐり抜けることによって、その先に「生まれてきて本当によかった」という光明を見ようとする道である。私はそれを「誕生肯定」と呼んで、哲学的に考察してきた。