内観法
従来の哲学的心理学では、心理学者自身が自分の意識的な体験を記述していたが、その報告が本当かどうか、また異なる心理学者の報告が一致するかどうかの保証はない。ヴントは、科学としての客観性を持った心理学を構築するため、実証的なデータをもとにすることが必要だと考えて、刺激を十分コントロールして作り出せる実験室を設置し、その室内で被験者に刺激を提示して被験者に意識的な体験についての報告(内観報告)を求めた。こうした実証的なデータを基にして、ヴントは実験を通して新しい科学的な心理学を創ろうとしたのである。 こうした内観法を基にした心理学は、少なくともそれまでの研究者個人の心理学ではない。しかし反面、十分信用できる内観報告を求めるためには被験者には訓練を受けさせる必要があり、その結果、内観に熟達した選ばれた人々という、限られた対象については心理学となった。(心理学[第五版 補訂版]用語集) それにあたって、刺激を十分にコントロールできる実験室を設置し、訓練を受けさせた被験者に、意識的な体験の報告(内観報告)を求めて、その結果をデータとして記録した。