代表的な防衛機制
(1)逃避ーー自己評価の低下が予想され、不安を感じさせる状況から逃げ出し、それを避けること。単純にその場から退くことで、身を守り安心感を得る「退避」、本質的な適応とは直接関係のない別の行動に集中することで、不安を緩和・解消しようとする「現実への逃避」、行き詰っているときに自由な空想の中での代償的満足をはかる「空想への逃避」、適応上必要な機能を停止するとか、すでにある機能障害を過大に見せることで、適応困難状況を避ける「病気への逃避」がある。
(2)抑圧ーー自己評価の低下が予想される情動や思考を、自ら認めないようにすること。倫理的・自尊的に見て好ましくない感情、たとえば性的・攻撃的なものや劣等感情などが抑圧の対象となる。フロイトは、本人にとっては無自覚のまま抑圧が生じること(無意識な抑圧の働き)を強調した。
(3)置き換えーー抑圧されている情動の行く先を、社会的に認められた、ないしは無害な代理的・代償的な目標へ置き換えること、有効なものの代表として、性的情動を芸術へ向け、攻撃的情動をスポーツ・ゲームへ向けるように、社会的に承認されない欲求を、容認可能な行動に変容して満足させることを「昇華」という。 (4)取り入れーー同一視を通じて、他者の持つ社会的に好ましい行動・態度・価値を取り入れ、自分自身もその有能な他者になったように感じること、たとえば、親の持つ規範や価値観を取り入れて、自己の内に内面化する。こうして超自我が形成され発達する。 (5)投射ーー同一視を通じて、自分の中にある情動や態度を他者に帰属させて責任を転嫁すること。社会的・自尊的に見て好ましくないことが投射されやすい。
(6)反動形成ーー自分の中にある情動や態度と正反対の行動をとること。たとえば、劣等感が虚勢を張る行動となったり、高く強い関心があるのに表面は無関心を装う行動となったりする。
(7)合理化ーー本来の目標に達しえないときに、自己評価を低下させないで済むように理由づけすること。一般的には負け惜しみによって、イソップに出てくる「酸っぱい葡萄」の論理がよく使われる。 受け入れがたい状況、または潜在的な危険な状況に晒された時に、それによる不安を軽減しようとする無意識的な心理的メカニズムのこと。 上記では代表的な7つが紹介されている。