人は比喩で物事を考えている
人は思っている以上に比喩に頼って物事を考えている。比喩に頼る理由はわかりやすくなるからだ。抽象的なものに対して、具体的なものを比喩として当てはめるパターンが多いだろう。なぜかというと、抽象的なものは直観的なイメージがしにくいので、それに対して、直観的なイメージがしやすい具体的なものをかぶせることによりわかりやすくなるからである。 最初は、現実の事象を前にした時に、そこに対してある比喩のインスピレーションが浮かぶ。現実→比喩という流れである。ここからが比喩の興味深い所で、一旦比喩が確立すると、比喩を基にして現実を考え出すのである。ここで比喩→現実という逆の流れが生じる。最初に比喩をイメージする時には、表面的なイメージだけで比喩をあてがっているに過ぎない。しかし、次の段階(比喩→現実)に至ると、当初は考えてすらいなかった比喩の細かい部分までも現実にはめて考えるようになる。そして、興味深いことにこれがまたよくはまるのである。当初はそこまで見通しを立てていないのにも関わらず、である。こういうことがなぜ生じるのか。矮小化して考えれば、比喩に引っ張られているからではないかと考えることもできる。しかし一方、実は当初の段階で無意識に細かい部分まで見通しを立てているから、そのイメージを比喩として採用するのではないかとも考えられる。前者で考えれば、そこで思考の探求は止まるが、後者で考えれば、さらなる思考の可能性を考えることができるだろう。
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