マクベス翻訳(やりかけ😖)
イタロー.icon昔の残骸も置いておこう……第一幕・第二場まで
原文
参考:福田恒存訳
マクベス
第一幕・第一場
第一魔女 じゃ、わしら三人、どんな空もようの下、再び相まみえよう、雷、稲光、それとも雨のしたたり?
第二魔女 てんやわんやの終ったあと、戦(いくさ)の白黒ついたあと。
第三魔女 そりゃ日の落ちる前に済むね。
第一魔女 どこがいいかね?
第二魔女 ヒースの野っぱら。
第三魔女 マクベスに会えるから。
第一魔女 行くさ、いとしの猫又ちゃん!
第二魔女 蛙もゲコゲコ呼んでるわい。
第三魔女 はいよ、すぐに帰るとも。
三人 綺麗は汚穢(おわい)、汚穢は綺麗。飛んでゆこう、霧と瘴気につつまれて。
第一幕・第二場
ダンカン あの血まみれ男はいったい? なんという様、これは、反乱軍について新しいしらせを持っている証拠。
マルコム 彼は優れた戦士、おかげで私も捕虜にならずにすんだ。ああ、勇猛な友よ! 王に申し上げるのだ、いくさ、君のみてきたそのありのままを。
軍曹 大勢は申し上げ難く。あたかも泳ぎつかれた二人が、互いをたよりに抱きつきあい、かえって息つきはてるといった具合に、あの非情なるマクドンウォルド、反逆者の汚名にふさわしく、前世より積み重ねた業を身にまとっておる始末、さてきゃつめは西の島々より、歩兵や騎兵をかき集め、さだめの女神も娼婦のごと奴にほほ笑みかけたかと見えましたが、結局は無駄なこと。勇者マクベスには――その名にたがわず、運命などにはつばきを吐きすて、ふるう剣は血煙あげて敵を切りすて、武人の鏡、道なき道を切り開き、すわ、かの野心のとりこの前にぬっと出で、息つく間もなく一刀両断、とうとう賊の首をわが軍の胸壁に据え置いたのでございます。
ダンカン おお、勇猛なるいとこよ。大した奴!
軍曹 日出づるかたより、船傾ける嵐や身も凍るイカズチの出で来たるように、快い春より不快なるものが湧いても来るのです。スコットランドの王、ご注意を。武勇たたえた正義の剣が、あわてふためく歩兵らを逃げ惑わせましたが、間もなく、ノールウェイ王は機を逃さずに、ギラリ光る剣を手にした増援とともに攻勢をかけてきたのです。
ダンカン さすがにうろたえたのではないか、われらがつわものども、マクベス、バンクォーも?
軍曹 そうですな、さながら雀と鷲、兎と獅子とでも申せば。本当のところ、こう申し上げねばなりますまい、倍の火薬を喰った大筒のごとく、彼ら倍の倍の打撃をあたえました、あたかも傷口から流れ出る血に浴するごとく、そうでなければゴルゴダの丘をここに打ち立てたるがごとく、はてさて実際の話はどうやら、それにしても、気が遠くなって参りました、傷が疼いてなりませぬ。
ダンカン その傷もその言葉も名誉の芳香を漂わせている、お前にふさわしく。この者を医者の元に。
誰が来たのだ?
マルコム ロスの領主が。
レノックス あの眼つき、緊急の用であろう、見るに、異変を知らせに参ったか。
ロス 王に加護を!
ダンカン どちらより参られた、領主どの?
ロス ファイフより。偉大なる王よ。
空にノルウェイの軍旗がはためき、われらの背すじを凍らす場所から。
ノルウェイ王は大軍を自ら指揮し、また不実な裏切り者コーダの領主もこれに加わり、陰惨な闘いの火蓋が切って落されましたが、われらがベローナの花婿は、頑強な鎧でその身を覆い、同等の兵力で彼らに立ち向かい、剣には剣、拳には拳で相対し、奴めらの貪婪な魂を押しとどめ、決着をつけたのです。勝利はわれらがもとへ。
ダンカン やれ嬉しや!
ロス さて、ノルウェイ王スウェーノは講和を求めてまいりましたが、聖コルム島にてきっちり一万ドル払わぬ限りは、きっかり一兵も埋葬させませぬ。
ダンカン 二度とコーダの領主がわが心を欺かぬよう、急ぎ奴のすみやかな死を告げにいくのだ。そしてその称号はマクベスのものとする。
ロス おおせのままに。
ダンカン 奴が失ったものを、気高きマクベスが勝ちとったのだ。