プロレタリアート
「プロレタリア(Proletarier)」は、ドイツ語で「自分の労働力を資本家に売って生活する賃金労働者」の意。
もともとは古代ローマの最下層階級の人々のことだったが、マルクス主義政治用語としては、労働者個人を指す場合には「プロレタリア」、労働者階級全体を指す場合には「プロレタリアート」(Proletariat)と使い分ける。 マルクス=エンゲルスが「労働者」という中立的な用語を採用せず、歴史的な用語からあえて「プロレタリア」という言葉を選び出したのは、「プロレタリア」に固有の含意を含ませるためだったのかもしれない。 「プロレタリア」とはただの「労働者」ではなく、「鉄鎖以外に失うべきものをもたない労働者」のこと。
共産主義者は、これまでの一切の社会秩序を強力的に顚覆することによってのみ自己の目的が達成されることを公然と宣言する。支配階級をして、共産主義革命のまえに戦慄せしめよ。プロレタリアは、革命において鉄鎖のほか失うべき何ものをももたない。かれらは世界を獲得しなければならない。 万国のプロレタリア団結せよ!
(『共産党宣言』、大内兵衛・向坂逸郎訳、岩波文庫、一九五一年、八七頁)