ヒューゴー・ミュンスターバーグ
《実験》
暗室のなかで一瞬電灯をともし、ごく短い時間ある言葉を被験者に読ませながら、同時に被験者の耳元で違った言葉を呟く。
すると、被験者が読んだとした言葉は、読ませた言葉と似てはいたものの、それとは異なっており、むしろ意味の上からは耳元で呟かれた言葉を連想させるものだった。
《例》
トリエスト(Triest)と文字で示す
フェルツヴァイフルング(Verzweiflung、絶望)と耳元で呟く
結果、非実験者は「トロスト」(Trost、慰め)と読んだ
意識の背後には、実現を待ちうける記憶の一群がひしめきあっている。それらは刺激によって目覚めさせられたが、たとえばこの場合はTrostだけが飛び出して、他の記憶は背後に取り残された。