フランスの哲学者,思想家。 1970年以後パリ第8大学教授。 M.フーコー,J.ラカンらと並んで現代フランスの知的指導者の一人と目される。ニーチェの強い影響のもとに,B.スピノザ,L.ザッヒャー=マゾッホ,M.プルースト,L.キャロルらに関するきわめて多様な著作を通じて,差異の観念を発展させ,二元論的対立を克服して,開かれた動的な言葉そのもののうちに自己の思想を陳述し,強力な欲望と意味生産の概念に達している。『経験論と主観性』 Empirisme et subjectivité (1953) ,『ニーチェと哲学』 Nietzsche et la philosophie (1962) ,『マルセル・プルーストとシーニュ』 Marcel Proust et les signes (1964) ,『マゾッホとサド』 Présentation de Sacher Masoch (1967) ,『差異と反復』 Différence et répétition (1968) ,『アンチ・オイディプス』L'Anti-Œdipe (1972,『資本主義と精神分裂症』第1部,ガタリ Félix Guattariと共著) ,『千のプラトー』 Mille Plateaux (1980,ガタリと共著) など。