ジブリはノスタルジー
米津玄師 - 地球儀
ジブリ作品って、もちろんそれぞれテーマは違うんだけど、共通項を一つ探せと言われれば、「ノスタルジー」なんじゃないかと思っていて、この曲はきちんとそのノスタルジー感が継承されているから、やはり米津はすごいなと思う。ただジブリと関係なく、パプリカやカイトなど米津は米津で、ノスタルジーを歌い続けてきたっていうのもある。だからこその米津への依頼だったというのもあると思う。ジブリのノスタルジーって単純に過去を描くとか振り返るというものでもなく、今を描いていたとしてもノスタルジーなんだよね。それぞれが持っている心の故郷への帰還というか。紅の豚の主題歌である加藤登紀子の『時には昔の話を』はノスタルジーの最たるものなんだけど、その舞台となっているのはたぶん昭和の前半位なんだよね。この時って、貧しさと豊かさが結びつくんだよね。今だと、貧しさっていうのはネガティブなものとしか捉えられないんだけど。でもその時代を生きていなくても、この曲にはノスタルジーを感じてしまう。自分がそれを経験してきたから感じるというのではない、より普遍的なノスタルジー。加藤の曲は、歌詞は具体的なんだけど、そこに普遍性を感じるというのは興味深いところで。米津の方は、より抽象的に歌っているというところはある。紅の豚の物語は、見ているときには現在進行形で描かれているんだけど、最後のフィオのナレーションによって回想化されるんだよね。「あの夏のことを今でも思い出す」。またポルコにも常に「過去」が付きまとっている。