キャベツ
メキャベツ
【キャベツ】より
…スコットランドではハローウィーンの晩に若い男女が目隠しをして畑に出かけ,手当りしだいに取ってきたキャベツの根を見て,〈土が付いていれば恋が実る〉というように結婚運を占う習慣があった。キャベツが酒の酔いをさますといわれるのは,スパルタの立法者リュクルゴスが酒神ディオニュソスのブドウ畑を荒らして制裁を受けたとき,ブドウづるで縛られた悔しさに涙を落とした場所からキャベツが生えたという伝承によっている。【荒俣 宏】。 英語でcabbagehead(キャベツ頭)は「石頭」の意(ドイツ方面のキャベツの固さから)。またKraut(クラウト)といえば侮蔑的にドイツ人のことを指す(ザワークラウトからの連想。ドイツ野郎)。一方、ドイツ語ではキャベツをコール(Kohl)というが、これはドイツ人の苗字にもなっている。例えばドイツ連邦共和国元首相のヘルムート・コールなどが挙げられる。またコール(Kohl)はスラングで「低能、バカ」と言う意味もある。
オランダ語では、「キャベツ」「石炭」ともにkool(コール)である。つまり、ドイツ語のKohl(キャベツ)・Kohle(石炭)、英語のcoalは同語源である。カチカチに固いのが共通点である。
フランスではキャベツをchouといい、愛情表現としてmon chou (monは英語のmyに相当)と男女が呼び合ったり、子供に対して言ったりする。
南ヨーロッパではキャベツはブドウの天敵とされ、ブドウ畑の近くにはキャベツを植えない。蜜蜂を介してキャベツの臭いがブドウに移るのを防ぐためと言われている。同様の理由で養蜂家はキャベツ畑の周りには巣箱を置かない。また、ギリシャ神話には酒神ディオニュソスとトラキアの王リュクルゴスにまつわるキャベツの起源伝説がある。
作曲家クロード・ドビュッシーは娘クロード=エンマ・ドビュッシーをシュウシュウChouchou(キャベツちゃん)と呼んで可愛がり、愛娘のために『子供の領分』や『おもちゃ箱』といった作品を生んだ。