エイドラ
カギとなるのは「エイドーラ」と呼ばれるものだ。「射影像」や「剝離像」とも訳される「エイドーラ」とは、薄い膜のようなもので、生物か無生物かにかかわらずあらゆるものはこの薄膜を放出している。衣類や人間から剥がれ落ちたフィルム状のエイドーラは、身体に開いた穴を通って人間の内部に入ってきて、たとえば視覚器官に衝突するとそこで視覚が生じる。デモクリトスによれば、このメカニズムが眠っているあいだに起きると夢になるという。睡眠中も人間の身体には穴が開いており、そこからエイドーラが入り込み、夢という視覚イメージを発生させるのである。