インド・アーリア人の再移動と新文化の成立
インド・アーリア人の再移動と新文化の成立
前五世紀ごろのインドでは、思想の自由にもとづき、いくたの思想があらわれ、ジャイナ教などの諸宗教が成立し、ついで世界宗教としての仏教があらわれたが、それはインド社会の大きな変動期においてであった。 前五〇〇年より以前のインドでは、アーリア民族が他の先住異民族を支配し、ガンジス川上流地方を中心にインド的農村を確立し、バラモンを中心指導者として共通な祭祀による精神的結合のもと、ささやかな農耕生活をいとなんでいた(一種の氏族制農村社会)。その中でのちにカーストと呼ばれる区別が成立した。 前六〇〇年ごろ、アーリア民族は東方に進出し、ガンジス川中流の諸地域に定住するとともに、社会的、文化的にめざましい変動を生じた。
混血や異民族の都市部への流入によって、新たな民族、古来の民族的伝承に対する自由な態度が生じ、超人種的な基盤となった。これが仏教やジャイナ教のような普遍的・論理的宗教を成立伝播させるもととなったのである。