『野生の探偵たち』
1970年代メキシコで活動する若い詩人コンビ、アルトゥロ・ベラーノとウリセス・リマが、1920年代の失踪詩人セサレア・ティナヘーロの足跡を追う「探索(=探偵)」の旅。そこから20年にわたる放浪が描かれる。
構成
第I部(1975・メキシコ市):17歳の詩人志望フアン・ガルシア・マデーロの日記
第II部(1976–1996):世界各地で出会った50名超の語り手がベラーノとリマの消息を証言していくモザイク的章
第III部(1976・ソノラ砂漠):再びマデーロの日記に戻り、追跡がある決着へ
作中の詩派「リアリスモ・ビセラル(内臓的リアリズム)」は、ボラーニョ自身が仲間と1975年に立ち上げたインフラリアリスモ(反現実主義)が下敷き。主要人物ベラーノは著者の分身、リマは詩人マリオ・サンティアゴがモデルとされる。
スペイン語版でエランデ賞(1998)、翌年ロムロ・ガジェーゴス賞(1999)を受賞