『夢野久作と埴谷雄高』
オビ文
第43回日本推理作家協会賞受賞の推理評論家、鶴見俊輔氏の最高の思索。哲学と文学の新たな出発。
『ドグラ・マグラ』『瓶詰の地獄』等、反日常の次元へと飛翔する奔放な想像力で、幻想と戦慄に満ちた精神の地獄絵を描いた夢野久作。前人未到の世界文学『死霊』『不合理ゆえに吾信ず』を刊行、透徹した論理で戦後日本の文学・思想・哲学の全領域に屹立する埴谷雄高。光芒を放つ二人の不可能性の作家の〈夢と想像力〉〈闇のなかの思想〉を知の饗宴の祭司・鶴見俊輔氏が二十一世紀の黎明へ向けて開示する。対談・講演も初めて収録。 内容
Ⅰ 夢野久作の世界
ドグラ・マグラの世界
夢野一族の頌
「怪奇小説」と三代の意図
夢野久作を語る
吹きわたる風韻
多義性の象徴を生み出す原思想(対話者――谷川健一)
Ⅱ 埴谷雄高の世界
虚無主義の形成――埴谷雄高
埴谷雄高の政治観
手紙にならない手紙
『死霊』再読
未完の大作『死霊』は宇宙人へのメッセージ(対話者――埴谷雄高・河合隼雄)
あとがき