『夜明け前』
『中央公論』誌上に、1929年(昭和4年)4月から1931年10月(第一部)、1932年4月から1935年(昭和10年)10月まで(第二部)断続的に掲載され、第1部は1932年1月、第2部は1935年11月に、新潮社で刊行された。 1934年11月10日に、村山知義脚色、久保栄演出「夜明け前」(三幕十場)が新協劇団により築地小劇場で初演された。 岩波文庫で各部二巻の全四巻。1596ページ。
書き出し
木曾路はすべて山の中である。あるところは岨づたいに行く崖の道であり、あるところは数十間の深さに臨む木曾川の岸であり、あるところは山の尾をめぐる谷の入り口である。一筋の街道はこの深い森林地帯を貫いていた。 読書会:まだない。