『「かわいい」論』
刊行年:2006年
本の概要:
様々な場面で使われる「かわいい」という形容詞。著者は「かわいい」を21世紀の日本の美学と位置づけ、その分析を試みる。 まず「かわいい」の源流が11世紀の『枕草子』にあり、江戸期の歌舞伎や大衆小説を経て、太宰治ら現代の作家にも受け継がれ、独自の美学へと洗練されてきたことを解説する。また、「かわいい」の構成要素として、美しさのほかに醜さ、不気味さなどのグロテスクも微妙に交じっていることを指摘。重要な属性である小ささと、日本文化の「縮み」志向との関係も探る。
ハローキティ、パフィー、ポケモンなど、「かわいい」が世界で受け入れられ、巨大な市場を作り出している背景を検証。「かわいい」文化を多方面から分析したユニークな1冊である。
かわいい論でよく参照されているっぽい1冊。「かわいいとは何か」を比較文化学者が考察した本。個人的にはかなり良書だった。