30代の部屋の比喩
アプリオリの比喩的な説明。
状況の説明
ある部屋がある。
その部屋の入り口は1つしかなくて、入り口にはガードマンが立っている。
その部屋に入ろうとしたら、ガードマンに止められて、年齢を確認される。
年齢が30〜39歳であると確認された場合のみ、その部屋に入ることができる。
そのような部屋を「30代の部屋」と呼ぶ。
30代の部屋のなかでは、年齢を訊かなくても、人が30代だと分かる。すなわち、経験によらずに30代であるという判断ができる。
その部屋において、「君はなぜ年齢を聞きもしないのに、その人が30代だと分かるのだ?」と質問されたとする。
いくつか回答パターンがある
「なんとなく分かるんだ」と答えたり、
「俺には年齢認識の超能力がある」とか
「顔や髪から30代だと推測できる」とか
「その人以外の全員が30代だと知ってるから、最後の1人も30代に決まってる」だとか
そして、「この部屋には元々30代しか入れないからだ」とか。
アプリオリというのは、この最後の答え方による説明である……というのが、30代の部屋の比喩によるアプリオリの説明。
重要なのは
個々の人から目を逸らす
自分自身の感覚からも目を逸らす
認識する場の本質に目を向ける
なんとなく分かるとか超能力とか外見からの推測というのは、人を見て起こる感覚を頼りに年齢判断しようとしている。4番目の帰納法的な推論はそれとは一線を画しているが、やはり個々の人に頼っているところがある。5番目は全く異なる。個々の対象や、それに対しての自分の感覚は完全に抜きにして、「そもそも、この部屋って何なのか」というところに立ち返っている。 この構図は無意識と意識の図にも似てるかもしれない。