芥正彦はなぜ赤ちゃんを連れてきたのか
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個人的にも気になったのでわたしなりにこのへんについての芥正彦の文章(原爆/天皇 そして三島由紀夫と東大全共闘)を読んだりしたのですが、芥の赤ちゃんについては、みなさんの意見はそれぞれ違うが、それぞれに真実めいたところがありそうで。
西川さんの言うような、あの赤ちゃんの力について芥自身が話していてーー矛盾や葛藤の前にあるーーという説明があるわけではないが、赤ちゃんは無時間としての無罪な力と言っている。誕生したばかりの新世代代表として、まだ湯気をたてている生命として、反=三島的事物としてあらわれた赤ちゃん解説をしている。反=三島という話として、芥が三島をどうとらえているかが大事なのですが、説明すると長いので端折りますが、芥は三島の天皇像や戦前の日本については、死の欲動に基づいたもので国家全体として共同幻想的な天皇像を捏造してしまったと考えているんですね。そういった歴史、時間と言ってもいいのですが、捏造された死の歴史を切断する存在として赤ちゃんという愛を新しい瞬間として参入させてるんですな(このあたりは演劇的だと思います)。
そして芥はそういった天皇を捏造した旧世代による権力の原爆による崩壊と、それと同時に生まれた新しい世代の生誕を結びつけている。
たしかフーさんの赤ちゃんのオムツを取り替えないといけないみたいなコメントがあったけど、実際に芥は赤ちゃんの世話で忙しかったという話があって、抱えていく必要があったのはあった。途中で帰ったのもその理由があった。これは芥の現実問題のはなし。
スイカさんの引用から芥正彦があの赤ちゃんを「天皇に値するもの」と述べているのは知らなかったが、それも兼ねて、ねぎまんさんやモンブランさんの倫理的な問題や取引材料のような赤ちゃんの存在について
芥が赤ちゃんを天皇に値するもの、三島や戦前の死の欲動に反する愛の象徴として持ち出すのはいいが、赤ちゃんを無防備な状態に晒している振る舞いは、自分の大切な赤ちゃんの防衛についてどう考えているのかという批判はあり得ると思う。
https://youtu.be/IWFLRU2PQwM?si=wTHFJOo19zKeax7Z