積極的ニヒリズムの自分なりの解釈
2022/9/12
ニーチェによれば、ニヒリズムにおいて私たちが取りうる態度は大きく分けて2つある。 1. 従来の最高の価値を信じる精神力を失ったために、そうした価値が無意味に感じられるということ。何も信じられない事態に絶望し、疲れきったため、その時々の状況に身を任せ、流れるように生きるという態度(弱さのニヒリズム、消極的・受動的ニヒリズム)。
2. 精神力が高揚し、従来の価値を乗り越えてゆくがために、従来の価値が無意味に感じられるということ。すべてが無価値・偽り・仮象ということを前向きに考える生き方。つまり、自ら積極的に「仮象」を生み出し、新しい価値を能動的に創造していく生き方(強さのニヒリズム、積極的・能動的ニヒリズム)。
3. 絶望すること・能動的になることにもやはり価値はないと考え、弱さのニヒリズム・強さのニヒリズムを否定する。自分では何も考えずに、しかし他者からの干渉も価値がないものだと無視して生きるという、一種の『悟り』のような態度(中心・無関心的ニヒリズム)。
ニーチェは積極的ニヒリズムを肯定し、永劫回帰の思想の下、自らを創造的に展開していく、鷲の勇気と蛇の知恵を備えた「超人」になることをすすめた。 「自分(というか人間一般の)の人生は無価値・無意味である」という消極的ニヒリズムの態度を肯定しつつも、それでもなお「何事も起こったことを肯定せよ。一度起こったことはそれを永劫回繰り返すことを肯定せよ」という「運命愛」でもって、そういった無価値な人生を積極的に引き受けつつ生きるという態度のこと、なのではないかと現時点では思っている。 ニーチェのいう「超人」とは、彼の有名な名言であるように、どのような過酷な運命であっても「これが人生か、ならばもう一度!」と無理にでも肯定する意志の強さを持った人間のことだという。