本歌取り
本歌取(ほんかどり)とは、歌学における和歌の作成技法の1つで、有名な古歌(本歌)の1句もしくは2句を自作に取り入れて作歌を行う方法。主に本歌を背景として用いることで奥行きを与えて表現効果の重層化を図る際に用いた。
例えば、
『古今和歌集』巻2 94番歌 紀貫之
「三輪山を しかも隠すか 春霞 人に知られぬ 花や咲くらむ」
『万葉集』巻1 18番歌 額田王
「三輪山を しかも隠すか 雲だにも 心あらなも かくさふべしや」
この2作品を比較すれば明らかなように、貫之は額田王の第1句・第2句をそのまま採用して第3句以後を自作としている。
本歌取 - Wikipedia
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本歌取りは現代でも用いられる手法の一つだが、下手をすると剽窃とみなされかねない。
現代で本歌取りによって最も有名になったのが、寺山修司が複数人の俳句を流用して短歌を作り、バッシングを受けた事件。
マッチ擦るつかのま海に霧ふかし身捨つるほどの祖国はありや  
寺山修司は「コラージュだ」と言い張っていたが、有名な歌人でさえこうなるのであれば短歌を書き始めてまもない人はあまり本歌取りには手を出さない方がいいのかもしれない。
『誰にも聞けない短歌の技法Q&A』には、「もっとキャリアを積んで、自分の個性、文体がある程度できてからの「本歌取り」であれば」、単なる真似や盗用とは言わせない作者オリジナルの本歌取り短歌ができるのではないかと書かれている。