オタクのグッズ文化について~痛バを中心に~
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痛バとは
痛いバッグの略称。
自分の好きなキャラクターの缶バッジやキーホルダー、ラバーストラップ、ピンバッジ、ぬいぐるみなどのグッズを、トートバッグやリュックに大量につける、キャラクターや作品への一種の愛情表現。出典
痛いという概念
痛いというのは、痛覚を表すものではなく「見ていて痛々しい」に由来する。
車体をアニメキャラクターのステッカー等で装飾した痛車と呼び、所持品をアニメ装飾することはここから痛〇〇と呼ばれることが多くなった。
痛バの歴史
痛バの歴史について、詳細な記載のあった記事が見つけられなかったため、筆者の経験での記述になることをお許し頂きたい。
まず、グッズを身につけるということ自体はオタクの中では当たり前に行われていたことだが、同じものを大量にとなると、記憶に浮かぶ最古のものはラブライバー四天王と呼ばれるこの武装だろうか。
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これは、ラブライブという作品のファン(ラブライバー)がグッズを背負うようにして、秋葉原等の街を歩く姿である。グッズが出始めた、アニメ終了ごろから散見したため、2013年3月ごろには話題にあがっていたと思われる。ラブライバーは男性ファンが多く、この写真でも4人とも男性ファンだと思われる。
これと同じころ、女性オタクもトートバッグにグッズを大量につける痛バッグの作成をはじめていた。
しかし、上記写真のようにむき出しにするのではなく、トートバッグを透明ビニールバッグで覆う形が流行していた。
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2015/8/4 Naverまとめにて痛バッグについて触れられた記事が登場。この記事の中で、めざましテレビにて痛バ特集が組まれていたとの記載があったため、この頃にはすでに痛バはある程度散見されていたと見られる。(2020年10/1でサイトが閉鎖のため、詳細が確認しきれず…)
上記まとめの時点ですでに、ビニールとトートがひとつになった、痛バ用バックが発売されている。
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その後、2017/3/24にオタマートにて痛バッグコンテストが開催。応募総数1800通とのこと。
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第一回大賞作品はこちら。かばんがもはや見えない…
このコンテストは2019年まで毎年行われており(今年は、コロナの関係で中止か…?)毎回多くのバッグが応募している。
こうして現在、休日に池袋等オタクの街やオタクのイベントに行くと痛バを見かけることは、そう難しいことでなくなった。
痛バを持ち歩く理由
【元:痛バ持ちAさん】
痛バは、1つのカバンで両面あるので2枚掲載しますね。
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はじめて、痛バを作ったのがこれだったのですが、作ろうと思ったきっかけは、イベントで別の方の痛バをみたときでした。ぎっしりと缶バッチがついてるわけではなく、でもそのキャラへの愛を感じました。
グッズ集めも初めてで、交換もしていたのですが、痛バを持てばどのキャラを探しているかもわかりやすいかなと考えました。交換で声をかけるのが勇気がいるので、これで相手の方から声をかけてもらおうと。
気づいたらものすごい量になっていて、自分でもびっくりしました。
【痛バ持ちBさん】
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痛バを作ろうと思ったきっかけは、まずはそのキャラクターが好きなことが大きな理由ですが、自分がどれくらいその子を愛しているか表したかったというのも大きいです。
なので、缶バッチを付けるだけではなく、その子のイメージに合うものをたくさん貼りました。2枚目がそれなのですが、雑草を表す人工芝、ムカデのおもちゃ、クローバー、うさぎ…など。ぬいぐるみも自分で作りました。
イベントに持っていくと、話しかけてもらえることが多々あります。
以前、痛車乗りの方と話したときがとても楽しく、お互い「いるだけで目立つ」ので、それ故のマナーや気を付けていること、好きなキャラが増えると痛バ(車)を増やしたくなるなど、共通点が多いことがわかりとてもお話が盛り上がりました。
ライブでの痛バ連番も楽しかったです。
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痛バ連番とは、ライブ等のイベントで痛バを並べて撮影すること。
【痛バ持ちCさん】
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なんで痛バを持つか。正直言うと、同担へのマウントが大きかったと思います。
より多く、よりたくさんのグッズを持っているっていうことを見せつけて、私の方が彼を愛してるんだってマウントをとっていました。そんなきっかけで持ち始めた痛バでしたが、イベントで彼と話す機会があって…。あ、彼はVtuberっていう存在なんですけど、それでご本人と話せて、カメラにこのカバンを写したら、ものすごく喜んでくれて、私のことも覚えてくれました。それ以来、同担へのマウントという気持ちは消えて、彼との思い出の品になりました。作ってよかったなって思います。
【総評】
痛バを持つ理由としては、まず自己呈示が挙げられる。
自己呈示とは、自分にとって望ましい印象を与えようとして意図的に振る舞うこと。つまり「自分はこのキャラが好きである」と、周囲にアピールするために痛バを持つ。また、ほかに考えられる理由として、仲間意識もあげられるだろう。同じ痛バを持つ者同士で集まり見せあうことでオタク同士のつながりをアピールできる。
最後に、マウンティング行為である。「私の方が他人よりも幸せである」と一方的に格付けし、自分の方が立場は上であると主張することだが、グッズを多く持っていること=それだけ推しに金をかけているので、自分の方が立場が上だとアピールできる。
痛バは持っているだけで、とにかく目立つのでどんな理由であれなにかしらのアピールだと考えていいだろう。
痛バの作り方
今回は、現痛バ持ちBさんに痛バ作成の方法についてお伺いします。
Bさん(以下B):よろしくお願いします。
まず、なにからしたらいいですか?
B:まず、土台となるカバン探しからですね。持ってる缶バッチの数や、持ち運びたいカバンの大きさ、デザイン色々あると思うので、いろんなサイトのカバンを比較してみましょう。
例えば、ザッカマートさんのA3痛バッグ用フェイクレザー2wayカスタマイズトートバッグなんかは、シンプルなデザインでA3なので大きく片面なので隠しやすい、グッズを付けるのも中に布が入っていて、そこにつけるのでつけやすいなど、使いやすい点が多いですね。
ただ、お値段が4290円と…んー…どうだろうなぁ…ってところです。
https://gyazo.com/9008e5d46765ab2ed099f3c30128b567
wegoの痛バも人気ですね。両サイドのリボンがとってもかわいいです。
https://gyazo.com/6cbe719578b58654c0e1c6d5c322d837
これを推し色に変えて使ったり、推しカプがある人なんかは左右違うリボンの色にできたりするのでいいですよね。
中はトートバックになってて、クリアバックとトートバックの2重構造なので、缶バッチも奥までつけやすいです。ただ、リボンの部分は缶バッチが少し隠れちゃうのが難点。wegoもいろいろと痛バ出てるのと、大きいお店だと実物も見れるのがいいですね。
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アニメイトの魅せトートです。都内等の大きいアニメイトや通販で購入できます。
シンプル!チャックがコの字にがばっと開くのでつけずらさはないですね。大きさもよく、男性の痛バとしてよく利用されてるイメージがあります。
https://gyazo.com/b331d42bfcfed7d2610b28f16c10fe66
swimmerの痛バ。これ絶版のため、定価は安いですが新品はこの値段では手に入りません。
ドットと、なみなみが可愛いんですが、ビニール部分には内側から手を入れるので、使いやすくは…対策は後述します。
https://gyazo.com/10e9bc9bfc719e58f9f4cd1380ba7b1b
390マートの痛バです。500円以内で買えちゃうのは魅力的ですね。色も豊富にあるのではじめての痛バや、1度だけなにかのイベントにもって行きたい場合などにはとてもおススメです。
耐久性や利便性はお察しなので過信は禁物です。
さて、上記から土台を選んだら、次はいよいよ缶バッチ付けですか?
B:それがですね。缶バッチを直にはつけないんです。
???どういうことですか?
B:これを使います。
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この鉢植えネットにつけることで、缶バッチが上下まっすぐつくのと、カバンに入れた時にへにゃんと倒れてしまうのを防ぎます。
今回のこのキャラクターはカバンが黒いので、そのまま使いますが、そうではない場合この鉢植えネットの上に
布を被せてホチキスなどで止めてから作業に入ります。
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こんな感じ。そうすると、黒が見えなくてかわいく作れます。
あとは、均一に、怪我に気を付けて頑張ってくっつけること。缶バッチが足りなかった場合、リボン・レースや造花なんかを入れても可愛いと思います。
Bさんありがとうございました。
グッズについて
グッズを用意するのに、金銭が必要なのは当然だが、ほしいものがほしいだけ手に入るとは限らない。
それはなぜか、ランダム商法があるから。
ランダム商法とは、その名の通り、中身がシークレットの状態で、開けてみるまでどれがでてくるかがわからないものである。その中で彼女たちはどのようにして推しをあつめているのか、Cさんに聞いてみた。
Cさん、グッズについてお話をお願いいたします。
Cさん(以下C):わかりました。まず、グッズについてですが、私たちはいわゆる無限回収勢って呼ばれてるオタクなんです。普通だったら、例えば1つあればいいとか、コンプリートできればいい、とか、ゴールがあると思うんですが、私たちにゴールはありません。販売中は買います。手に入るなら入手し続けます。何個でもほしいんです。それが無限回収民。
Cさんはなぜ無限回収するんですか?
C:推しがほかの人の手に渡るのが本当に苦痛だからです。全部なんて、ほんとは無理だとわかってても、自分が見える範囲のグッズは手に入れておきたい。それが私の心境です。
Cさんがグッズをより多く手に入れるためにしていることはなんですか?
C:まずは上限まで買います。自分のところに来た推しは、絶対自分のものにできるので。そのあとは、交換を行います。ほかのキャラクターを推してる方と交流をして、交換します。ただ、ここで面倒なのが交換レートってのがあるんです。
交換レート?定価は同じですよね?
C:はい。けど、人気に差があるので、どうしてもレートにばらつきが出ちゃうんです。私が好きな子はレートが高い子だったので、同じレートの子がもう一人いたのですが、その子としか基本交換ができなくて…。あと、そもそも交換する文化のそこまでないジャンルだったので、ひたすら自分で買って、フリマアプリで定価で流してました‥。
フリマアプリと言えば転売なんかもありますよね。
C:はい。本当に許せないですが、定価より何倍も高くして売っている場合をよく見かけます。そういうのが売れることがさらに交換レートを高める要因にもなるので、本当に困ります。
無限回収の先:祭壇
集められたグッズは必ず、痛バになるわけではない。
彼女たちは、推しの記念日になるとグッズを並べ推しをあがめる。それが祭壇である。
https://gyazo.com/67df97e921c12ab9d35e8efa6b317f28https://gyazo.com/19261a0761d9572d401f431c333ba82b
これは、インタビューしたBさん、Cさんからの提供画像だが、ネットにはさらにすごいものもあり、
https://gyazo.com/1d145c3375f15f2edd642109def0a4ac
参考リンク
ただただ、すごい。
以上、オタクのグッズ文化についての論考でした。
お読みいただきありがとうございました。
#独自研究 #オタク