スイッチング電源ノイズ対策
スイッチング電源のノイズ対策に関する記事。
スイッチング方式のDC-DCコンバータは、その仕組みから、ノイズの発生源となってしまう可能性がある。これを避けるために、設計者は適切な対処法を知っておかなければならない。本企画では、2回にわたり非絶縁型/スイッチング方式のDC-DCコンバータのノイズ対策について実践的に説明する。今回は『理論編』として、ノイズの種類やノイズの発生メカニズムを中心に解説を行う。
本稿では、非絶縁型/スイッチング方式のDC-DCコンバータにおけるノイズ対策について、2回にわたって解説している。前回は『理論編』として、ノイズの種類やその発生メカニズムについて説明した。その内容を踏まえ、今回の『実践編』では、ノイズの発生を抑えるための基板レイアウト設計の基本、部品の選択方法、付加回路による対策手法について具体的に解説する。
基板のレイアウト
https://gyazo.com/3a0c167cffea82404a3b9bb79b519584
部品面に大電流パターンを形成する
2〜3層目はシールド目的とする
パワーステージにviaを使うのは避けるべき
https://gyazo.com/534a459ab58c69141a8835b89dd09907
入力コンデンサは入力端子のできるだけ近傍に配置
入力コンデンサはその容量よりもESLの小ささを優先
https://gyazo.com/a3046a18bc8e93f135826cf983d6c568
出力インダクタの電極間はできるだけ離す
部品の選択
付加回路による対策
EMI除去フィルタ(エミフィル®)は電子機器の電磁ノイズ対策を行うための電子部品で、シールドなどとともに使われます。このフィルタは配線を伝導する電流のうち、電磁ノイズの原因となる成分だけを抽出し、除去するものです。1章では、電子機器でこのEMI除去フィルタ(エミフィル®)が使われている背景を説明するとともに、電磁ノイズの対策に使われる代表的な部品であるシールドとフィルタの働きについて概要を紹介します。
デジタル IC がつながる電源には、図 1-1 に示すように各種のコンデンサやEMI除去フィルタが使 われています。これらは IC の電源端子と電源分配網(Power Distribution Network:以下 PDN)を つなぐ接続点に、図 1-2 に示すような一種のフィルタ:デカップリング回路を形成することにより、電源 品位(Power Integrity : PI)を向上させていると考えることができます 1) 2)。
干渉が生じているキャリア周波数で高い除去効果を発揮できるEMI対策部品を選択します。
フェライトビーズの場合: キャリア周波数でインピーダンスが高いもの
LCタイプフィルタの場合: キャリア周波数で挿入損失が大きいもの
DC バイアス電流の問題
DCバイアス電流が増加するとインダクタンスが著しく低下する
電源ノイズを効果的にフィルタリングするには定格電流の20%で使用する
LC 共振作用
フェライト・ビーズとデカップリング・コンデンサを組み合わ せると、共振ピークの生じる可能性がある
システムによってはリップルとノイズを減衰せずに増幅するので有害
DCDCの動作周波数帯に現れると厄介な問題に
ダンピング方法
共振ピークを大幅に低下させる方法
方法A デカップリング・コンデンサに抵抗を直列接続
https://gyazo.com/10cb0efa707f68d11194ad2c64222a42
共振は減衰するが高い周波数のバイパス効果が劣化
方法B フェライト・ビーズに抵抗を並列接続する
https://gyazo.com/bd1aa0e4850a975900c650ff0d41ac61
共振は減衰するが高い周波数のバイパス効果が劣化
インピーダンスは著しく下がり抵抗が支配的に
フェライトビーズ単体と比べてクロスオーバー周波数が遥かに低くなる
フェライトビーズ単体と比べて遥かに低い周波数帯で抵抗性を示し、Qが下がってダンピング性能が改善される
方法C 容量の大きいデカップリングコンデンサに抵抗を直列接続(多くの場合最善の方法)
https://gyazo.com/d1d1f0ad826a97142ce7fd4918106bd5
共振は減衰するうえ高い周波数のバイパス効果は劣化しない
ダンピングコンデンサは、デカップリングコンデンサを全部合わせたよりもずっと大きな容量でなければならないが、ダンピング抵抗の値は小さくできる
$ R_{DAMP}の範囲は下記式で求まる
$ R_{DAMP}\geq2\sqrt{\frac{L_{BEAD}}{C_{DAMP}}}
$ R_{DAMP}\leq0.5\sqrt{\frac{L_{BEAD}}{C_{DECOUP}}}
電源用にBLM_PG・BLM_PX・BLM_Kシリーズなどがある
BLM_18Kシリーズは低直流抵抗タイプ。1608サイズで1A〜6A流せる。
デジタル電源とアナログ電源の分離にちょうどいいんじゃないだろうか。