指数関数 a^x の導関数に現れる係数が対数であることについて
実数$ a の関数$ f(a) を次式で定義する:$ f(a) := \lim_{h\to0} \frac{a^h-1}{h}.
ここでこの極限$ f(a) は(考えている有限の$ a の範囲内では)有限値に収束しているものとする。
このとき
$ f(ab) = \lim_{h\to0} \frac{(ab)^h - 1 }{h} = \lim_{h\to0} \frac{a^hb^h - 1 }{h} = \lim_{h\to0} \frac{a^hb^h {-b^h+b^h}-1}{h} = \lim_{h\to0}\left(\frac{a^h-1}{h}b^h+\frac{b^h-1}{h} \right)
$ \lim_{h\to0}b^h=b^0=1 および(高校教科書には天下り的に与えられている)有限確定な極限値に対する極限と和、積の可換性の公式より、
$ = \lim_{h\to0} \frac{a^h-1}{h}\lim_{h\to0}b^h + \lim_{h\to0} \frac{b^h-1}{h} = f(a)\times1+f(b) = f(a)+f(b)
であるから$ f は対数法則を満たす。
対数法則を満たす関数を高校の数学IIIまでの論理だけで導く:
$ f(xy) = f(x) + f(y) を満たすなめらかな実1変数関数があると前提すると
$ f(0) は($ f が恒等的に0の場合を除いて)定義できない…(A);
$ x=y=1 を代入して$ f(1) = 0 …(B);
両辺を$ y で微分し、$ y=1 を代入して$ f'(x) = f'(1) \frac1x …(C);($ x = 0 をまたぐ区間では定義できそうにない…(D))
(B), (C)と微積分の基本定理より:$ f(x)=f'(1)\int_1^x\frac{dt}{t} である。(ここで$ \ln(x) := \int_1^x \frac{dt}{t} , $ x>0 と定義する。)
ここで$ f'(1) の値を「$ a が対数関数$ f の底」すなわち$ f(a) = 1 と置くことで決める:$ f(a) = f'(1) \int_1^a\frac{dt}{t} = 1 ,すなわち$ f'(1) = 1 \bigg/ \int_1^a\frac{dt}{t} = \frac{1}{\ln(a)} (ここで$ a=1 だと$ f(1)=f'(1)\times 0 より$ f'(1) が決らないので$ a\ne1 でなくてはならない).
以上より対数法則を満たす関数$ f の具体的な関数形は$ x>0 , $ 0<a<1,\,1<a において$ f(x) = \int_1^x\frac{dt}{t} \bigg/ \int_1^a\frac{dt}{t} = \frac{\ln(x)}{\ln(a)} となる(これは底の変換公式より$ f(x) = \log_ax である)。
以上より$ x>0 の範囲ならば、対数法則を満たすなめらかな(1階微分可能な)関数を構成できることが分かった。
この逆関数$ y = a^x すなわち$ x = f(y) の導関数は$ 1 = f'(y) \frac{dy}{dx} = \frac{f'(1)}{y} \frac{dy}{dx} より$ \frac{dy}{dx} = \frac{y}{f'(1)} = y \int_1^a\frac{dt}{t} = a^x \ln a