『インターステラー』
2024-11-23 池袋グランドシネマサンシャイン12F
前提知識
以下のような、理論物理・宇宙物理のSF的な意味での定番ネタ
一般相対性理論
特異点
事象の地平線
(宇宙検閲官仮説)
(重力量子論)
解釈
冒頭のインタビュー映像は、結末が既に決まっていることを示している。あるようにあり、なるようになる。
なぜマーフは一人娘ではなかったのか
長兄が家督継承をする、という家父長制的な世界観が「以前として存在していて」かつ「(主人公たちは究極的に)そこから自由である」ことを示す意図に思える。フィクションにおける家族構成には必ず意味がある。(クーパーの妻が不在である理由も云々できなくはないが、これに関しては主題のブレを防ぐため、でもある程度納得できるように思う)
そして、トムのように「聞き分けの良い」子よりも、マーフのように頑固で意地っ張りな子の方がこと科学的探究には向いている、という性格理解の提示でもある。
教科書の陰謀史観について
一応。アポロ計画陰謀説はまことしやかに噂され、本気・冗談の両方のモチベーションからしばしば口にされる。そうした歴史認識が、例えばどのように利用される得るかを簡潔に示している描写だ。つまり、時代状況に迎合した、耳に心地良い自己正当化の素材として、そうしたジョークもいつしか事実になっていく。
ポストトゥルース・歴史修正主義に対する牽制でありつつ、そしてクーパーとマーフの反社会性を覗かせる一幕だ。
マス博士の存在の象徴的意味
アメリアの言う通りに進行していた場合、という仮定が何を意味するか
プランBが成功する(はずである)
そしておそらく(これは可能性でしかないが)マス博士が乱心するルートからは逸れる。
クーパーの旅とマーフが方程式の解を得るまでとを同時並行的に描写していることの意図
ミスリード狙いもあるだろうが、物語的そのものの必然として、同時並行的に描写している。
クーバーの特異点への到達が、全ての因果の中心となっている構造であり、それに至る・そこから始まる物語は、実のところある種の同時性とも言うべき様相を呈さざるを得ない。5次元的な認識を3+1次元的な認識に還元して語る必要があるから、といえばそれっぽい。
小ネタ
「またな、相棒」
は人間味溢れるAIの気の利いた別れの言葉……と思わせておいて、クーパーの決意を事前察知していたことをしましている
通信技術やばくね?
感想