畳み込み演算に対して直感的なイメージをLTIシステムのイメージをもとに得る
要するに: LTIシステムと結びつけて$ a * bの意味合いを考える。 全ての時刻$ kにわたって、次のことをして信号を新しく作ることを考える。
強さ$ a\lbrack k \rbrackで信号$ bを($ kだけ右時刻シフトして)生起させる (それまでに発振した信号の上に重ねてさらに発信する)
このイメージで交換則が成り立つかどうかについて、直感的に理解を得ることについてもこの記事では検証する (ただし、厳密にではなく、例示的に)
こういうもんなんだろうか...?
ハンコを押すようなイメージと先生は言っていたが、どうもそれとうまく結びつかん...
あ、でも演習問題解くと確かにハンコのイメージかも...
あとはそれをどうこの畳み込み演算の一般の式と結びつけるか
定義
$ a\lbrack n \rbrack := a(n)
$ \delta\lbrack n \rbrack := \begin{cases} 1 & n = 0 \\ 0 & n \neq 0 \end{cases}
$ (f * g)(x) = \int_{-\infty}^{\infty} f(x)g(x-t)dt = \int_{-\infty}^{\infty} f(x-t)g(x)dt
$ (a*b)\lbrack n\rbrack = \sum_{k\in \Z} a\lbrack k\rbrack b\lbrack n-k\rbrack = \sum_{k'\in \Z} a\lbrack n-k'\rbrack b\lbrack k'\rbrack = (b*a)\lbrack k \rbrack
あ、
第二式は強さ$ a\lbrack k \rbrackで信号$ bを$ kだけ右時刻シフトして発信してるのかappbird.icon 第三式は強さ$ b\lbrack k' \rbrackで信号$ aを$ k'だけ右時刻シフトして発信してるのかappbird.icon 第二式と第三式が一緒になるの非自明感がある
いや、数式上では変数変換すればすぐ示せるけどイメージとして一緒になる気がしない
$ k' = n - kだから時刻を反転して($ -k)$ nを足していると考えられる...?
うーん、この方針ではすぐイメージが思い浮かばないな
記法の定義
以降、信号$ aに対する$ a \gg kは$ aの$ kだけの右時刻シフトを表している。 $ k, l \in \Z
$ \forall n \in \Z; (a \gg k)\lbrack n \rbrack = a\lbrack n - k \rbrack
次の性質が成立する。
二重時間シフト:$ (a \gg k) \gg l = a \gg (k+l) 分配法則:$ (a + b) \gg k = (a \gg k) + (b \gg k) step 1. 単純な具体例で考えてみる
$ b = \deltaとする。
強さ$ a\lbrack k \rbrackで信号$ \delta \gg kを発信してる 全ての$ kにわたってやり通した結果は信号$ aそのものになる。
強さ$ \delta\lbrack k' \rbrackで信号$ a \gg kを発信してる これは$ \sum中で一回だけ$ aを発信することになる
$ \deltaが$ 1を取るのは総和中のうち1個のタイミングしかない
だから確かに等しそう
$ b = \delta \gg 1とする。
強さ$ a\lbrack k \rbrackで信号$ (\delta \gg 1) \gg k = \delta \gg (k+1)を発信してる 強さ$ (\delta \gg 1)\lbrack k' \rbrackで信号$ a \gg kを発信してる これは$ \sum中で一回だけ発信することになる
だから確かに等しそう
step 3. もっと複雑にしてみよう
$ b = 2\delta + (\delta \gg 1)とする。
強さ$ a\lbrack k \rbrackで信号$ (2\delta + (\delta \gg 1)) \gg kを発信してる これは、次の二つを全て行っていることに等しい
強さ$ a\lbrack k \rbrackで信号$ 2\delta \gg kを発信している 先の$ b = \deltaの例を参照すると...
これは強さ$ (2\delta)\lbrack k \rbrack で信号$ aを発振していることに等しい ... (1)
強さ$ a\lbrack k \rbrackで信号$ \delta \gg (k + 1)を発信している これは強さ$ (\delta \gg 1)\lbrack k \rbrack で信号$ aを発振していることに等しい ... (2)
$ \because (2\delta + (\delta \gg 1)) \gg k = 2\delta \gg k + (\delta \gg (k + 1))
強さ$ (2\delta + (\delta \gg 1))\lbrack k \rbrackで信号$ a \gg kだけ右時刻シフトして発信してる 信号を分解すれば、次のようなタイミングで次のような信号が発信される。
時刻$ k = 0のとき、強さ$ 2で信号$ aを発信する
これは(1)に相当する。
時刻$ k = 1のとき、強さ$ 1で信号$ a \gg 1を発信する
これは(2)に相当する。
これを拡張すれば...
信号をインパルス信号による表現に分解した上でstep1, step 2の問題に帰着させれば全ての信号に対して議論できることになる。 個人的には納得できた。
直感的には、
bがインパルス信号だった時
各々の時刻で一つ一つ細かく発信させてある信号を再現することと、一度にその信号丸ごと全部を発信させることは等しい (*)
そして一般にも信号bはインパルス信号の線型結合で表せる
なので、それぞれのbの項に対して上の事実(*)を適用していくと、aのタイミングで信号bを打ち出すことは、bのタイミングで信号aを打ち出すことに等しいと言える
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$ (a*\delta)\lbrack n\rbrack = \sum_{k\in \Z} a\lbrack k\rbrack \delta\lbrack n-k\rbrack = \sum_{k\in \Z} a\lbrack n-k\rbrack \delta\lbrack k\rbrack = a\lbrack n\rbrack
第二式
$ \deltaが$ 1になるタイミングは$ n = kの時だけ。
つまり、一項以外全て$ 0になる。
その唯一の1項は$ a\lbrack n \rbrackである。
これは$ \deltaを少しずつずらして信号を構成していくイメージ?
各々の項がどうなっているかを考える
$ a\lbrack k\rbrack \delta\lbrack n-k\rbrack
それぞれの項は$ n = kの時にだけ現れる
拡張すると、$ b\lbrack n - k \rbrackが$ 0にならない時にだけ現れる。
第三式
$ \deltaが$ 1になるタイミングは$ k = 0の時だけ。
つまり、一項以外全て$ 0になる。
その唯一の1項は$ a\lbrack n \rbrackである。
これは$ aを少しずつずらして信号を構成していくイメージ?
このインパルス信号を「ハンコ$ a」の起点とみなせば、まあ理解できなくもない...か...? しかし結論に至るまでのステップ数が多すぎるような気がする