複素解析
意義
まじめに
複素平面を定義域とするような関数に経路積分を導入したらどういう性質が生じるかを探究する学問
で、これを突き詰めていくとコーシーの積分表示・留数定理というのが出てきて、不定積分をあれこれ考えなくても計算ができる場合が出てくる。
応用
いちいち置換を繰り返したり頭から分解のパターンをこねくり出さなくても.... すごく楽!
$ \int_{-\infin}^{\infin} f(x)dxの場合
この線積分の経路として、半円を選び、積分すれば複素積分を適用できる。 https://gyazo.com/d0dfe48ff1c4a38858754949b7f78a4b
実数軸全体を含む $ (-\infin, \infin) Re(z) = 0でない部分Pの経路での積分の値が0になっていればPの積分は無視できる
つまり、この問題は複素積分として取り扱うことができる。 目標
留数定理を使うと気持ちがいいところまで、概略を説明する。 後輩のために説明したページ
目標にしないこと
厳密な証明は与えない。ざっくりとした概形のみ
具体的な例を与えない。最低限の内容を扱う。
このノートの内容だけでは問題を解くことはできない。 複素平面の基礎的な取り扱い方は前提とする。
$ e^{i\theta} = \cos\theta + i\sin\thetaを認めるレベル。
$ f:\mathbb{C} \to \mathbb{C}の写像を考える。 $ z-平面中の$ \mathbb{C}の一点から、別の平面の$ \mathbb{C}の一点へ対応づける。
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$ \lim_{z \to \alpha} f(z) = \betaとは、
点$ zが点$ \alphaに「二次元平面上でどのような近づき方をしても」、点$ f(z)は点$ \betaに限りなく近づくことを意味する
$ |z_n - \alpha|が$ nに対してどのように小さくなっても、$ |f(z_n) - \beta|は限りなく小さくなる。
$ \alphaに収束する任意の点列$ \{ z_n \}_{n\in \N}に対して、$ |f(z_n) - \beta|が0に収束する。 $ \forall \varepsilon > 0; \exists \delta > 0; \forall n\in\N; |z_n - \alpha| < \delta \Rightarrow |f(z_n)- \beta| < \varepsilonとも。
性質
関数$ fが点$ \alpha \in \mathbb{C}で連続であるとは
極限$ \lim_{z \to \alpha} f(z)が存在して$ \lim_{z \to \alpha} f(z) = f(\alpha)
性質
分母が0になる場合は除く。
$ f'(z) = \lim_{\Delta z \to 0} \frac{f(z+\Delta z) - f(z)}{\Delta z}
細かな注意 領域というのは、ここでは開集合を指すことに注意 性質
ざっくり説明
この定理は、留数定理という積分難易度のバランスブレイカーに繋がる、とても重要な定理となる。 前提
$ R := \mathrm{Re} f, I := \mathrm{Im} fとおく。
$ fへの入力$ z = x + yiについて、$ R, Iが$ x, yの二変数関数になることに注意 $ R(x,y), I(x,y)と書ける。
偏微分の記法について、$ u_x := \partial u/\partial xとする。
主張
$ R_x = I_y\; \mathrm{and}\; I_x = - R_y
ざっくり証明
(i) $ \Rightarrow方向
定義から、$ fが正則なら、どの方向から各点に近づけても同じ値に収束するという性質を生かす。 $ f'(z) = \lim_{\Delta z \to 0} \frac{f(z+\Delta z) - f(z)}{ \Delta z}
近づく目標点を$ z = x + yiとおく。
実軸にそって動かす場合$ \def\p\partial f'(z) = R_x + I_xiが成り立つ
$ \Delta z = hとした上で変形すると、上の式が出てくる。(偏微分) $ \Delta z\to 0ならば$ h \to 0
虚軸にそって動かす場合$ \def\p\partial f'(z) = I_y - R_yiが成り立つ
$ \Delta z = hiとした上で変形すると、上の式が出てくる。(偏微分) これらは一致しないといけないので
$ R_x + I_yi = I_y - R_yi
(ii) $ \Leftarrow方向
$ \Delta R = R_x \Delta x + R_y \Delta y + \varepsilon_R
$ \Delta I = I_x \Delta x + I_y \Delta y + \varepsilon_I
そして
$ \Delta f = \Delta R + i\Delta I
$ = R_x \Delta x + R_y \Delta y + i(I_x \Delta x + I_y \Delta y) + \varepsilon_R + \varepsilon_I i
続けて、前提より ($ R_x = I_y かつ$ I_x = -R_y)
$ = R_x \Delta x - I_x \Delta y + i(I_x \Delta x + R_x \Delta y) + \varepsilon_R + \varepsilon_I i
$ = R_x \Delta x + iR_x \Delta y + iI_x \Delta x - I_x \Delta y + \varepsilon_R + \varepsilon_I i
$ = R_x(\Delta x + i \Delta y) + iI_x(\Delta x + i\Delta y) + \varepsilon_R + \varepsilon_I i
$ \Delta z = \Delta x + i\Delta yに注意する。
$ = R_x\Delta z + iI_x\Delta z + \varepsilon_R + \varepsilon_I i
$ \Delta f/\Delta z = R_x + iI_x + (\varepsilon_R + \varepsilon_I i)/\Delta z
$ \Delta x, \Delta y \to 0として、次を得る。
このとき、$ \varepsilon_R \to 0, \varepsilon_I \to 0であることに注意
これって本当かぁ...?appbird.icon
$ \lim_{\Delta x, \Delta y \to 0}(\varepsilon_R + \varepsilon_I i)/\Delta z = 0になることが必要。
$ df = R_xdz + iI_xdz
$ \frac{df}{dz} = R_x + iI_x
この$ R_x, I_xはいずれも存在する。(前提による)
よって、その和で表される$ fの導関数も存在するといえる。 == 正則