李 昇達|M1|20200716|研究発表+討議
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M1 ちょんうぇい「モホイナジの芸術分析と抽象絵画の形態論」
01. ラスロー・モホイ=ナジ『vision in motion(ヴィジョン・イン・モーション )』井口壽乃訳(国書刊行会 ,2019)
・当時のアメリカの状況に適合させながら、バウハウスの教育原理を移植した。その時のデザイン哲学が書かれている。
02.ヴァシリー・カンディンスキー『点と線から面へ』宮島久雄訳(ちくま学芸文庫、2017)
・カンディンスキーのバウハウスにおける成果のひとつで、第一次世界大戦の開戦頃から 10 年間集めていた資料であり、バウハウスで授業を行いながら内容を充実させていき精髄をまとめたもの。
点は静寂。線は内的に動く緊張で、運動から生まれる。二つの要素は、交差、構成であり、単語によっては達成されないような独自の「言語」
を形成する。この言語の内的な響きを弱め、曇らせるような「余計なもの」を除去するならば、絵画表現は最高の正確さを得ることになる。
純粋な形態は生命の通った内容を獲得する。
〇今後の研究の展望
対応関係は、必ずしも科学的な理由に基づいているわけではなく、経験的・心理学的にしか説明しえない部分が多い + 感覚的には納得できる部分もあるが、時代背景や文化的背景によっても対応関係が変わるのではないかという印象
→今後:他の抽象絵画・構成主義の形態論も調べつつ、ほかとの比較をしながら表現を見ていく
〈議論〉
青井先生
ちょんうぇいの野望みたいなものはなに?
→ジョンヘイダックがキュビズム・抽象絵画の影響を受けてそう
ヘイダック論にいきそうなのかな
ヘイダックのドローイングの気になる点は?
→内面性や知覚について表現している点が気になる。
中西
水平線が冷たいイメージなどいったことは実例があるんですか?
→実例はなかった。
→当時の人のイメージの統計的なものか
吉田
なぜ時代的文化的背景によって変わると考えたの?
→土地の文化的背景によってイメージも変わったような印象を受けた
→誰しも持っているような知覚の効果をドローイングを通してイメージを作成していくような過程(普遍性)をみていきたい
青井先生
普遍性なのか、文化的な背景なのか、個人の経験によるものなのかといったものがあげられる中で、ヘイダックは、カンディンスキーはどのような考えを持っていたかは重要。カンディンスキーが何をやりたかったのか、疑いを持たれそうだとしても追及しようとしたものを理解するモチベーションを持つといい。
寺澤
「複雑系の可視化」は今後このまま複雑な内面の可視化探求になっていくのでしょうか。
→いまは気にしなくてよさそう。モホイナジが追究した内面は、「ロマンチック」なものではなく、人類が抱えていたけど気づかなかった感覚のようなものではないかな?(心理・無意識とかのニュアンス)
木山
作品自体の解説はある?
→カンディンスキーが絵にどこまで落とし込んでいるか
和田さん
モホイナジらとヘイダックは時代的な距離があるので、どのぐらいつながりが見えている?
→気になっているところ。ポップアートの流れがあったが、「建築の解体」ではそこにベンチューリの関りなどが言われてる。
→グレー派がポップアート?ホワイト派が抽象絵画?
青井先生
コンテクスチュアリズムとの関係もある『現代建築のコンテクスチュアリズム入門』。次第に関心は薄れていくが、こういった文脈を踏まえて同時性などがもう一度考え直されていく過程がある。そのあたりも追々見ていけるとよさそう。
〈チャット〉
宏亮 寺澤
展望マップいいですねぇ、ぼくも早くこういうの書きたい(感想)
Hikaru Yoshida
最後の対応関係が時代的文化的背景によって変わる印象はどこからきたのですか?
宏亮 寺澤
ジョンヘイダック、モホイナジ中心に追っていくことで、内面性の可視化の方法を研究しているのだと理解していますが、
チョンウェイが最初に掲げた「複雑系の可視化」は今後このまま複雑な内面の可視化探求になっていくのでしょうか。
結 木山
四角とか線とか個別記号?の印象、イメージを統合して一つの絵にするときの配置などに関して。
wadaryusuke
抽象絵画の時代とヘイダックの時代に少し距離があるのが気になっています。アメリカの60-70年代だと、直接絵画と建築の関係というよりは、そこにポストモダン哲学の影響が挟まりそうな気がします。ちょっと怪しいですが。
Hikaru Yoshida
ヘイダックで決めてるなら、ヘイダック自身の手法から、カンディンスキーやモホリナギ、ポストモダンの時代背景を探ってヘイダックにいたるまでの表現の歴史を追っていくのも良い気がします。
〈on slack〉
akihito aoi
@Lee Shota 青井の発言の要点:
モホイ=ナジ:機械の時代は新しい次元をもたらした。だが、我々がその経験の方法を知らない。
この感覚は重要。機械は一方で地球的普遍性(テクノロジー・交通)を志向するものとして受け止められ、他方で文化的表層の下に隠れていた人類的普遍性(深層・無意識)を意識させたのだろう。
↓
これまでの芸術(=世界を理解する方法)は、止まっていた。だから動かなければならない。これまでの芸術は文化に覆われていた。だから剥がさねばならない。
akihito aoi
そうすることで、私たちは我々のなかにある「何か」を掴み取ることができるのではないか!
akihito aoi
という感じ。
寺澤 宏亮
@akihito aoi 時代的にユングの無意識と重ねてますか?
akihito aoi
ユング理論を教えてくれたら答える 笑
akihito aoi
でもまあ、考え方は似ているんじゃないかなあ。
寺澤 宏亮
挑発ですかね笑
ユングは人類的普遍性をもつ深層・無意識の構造を「集合的無意識」として説明しようとしました。ぼくも最近勉強したばかりですが
以下、コピペ
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ユングが「発見」した「集合的無意識」(普遍的無意識とも呼ぶ)とは、古代から現代まで人間の無意識に通底する心理構造のことをいいます。それは人間の情緒性の基盤であり想像力の原点であるとされました。そのパターンである「元型」」は普遍的に人間に存在し、時代と場所や、民族によって違った形をととって人間に影響するとされます。
ユングの分析心理学では、相反する自分が意識と無意識にはそれぞれ存在し、意識と無意識の関係は補償的・調和的なものであるとしています。
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深層でつながる「無意識」に対して、顕在している意識は氷山の一角であるとして、よくこのような図解がされます。
https://gyazo.com/01f1e871b066a2c36031f844ae5284af
寺澤 宏亮
単純に同時代的にこういうモチベーションがモホイナジにも共有したのでは?という青井先生の睨みなのかなあと思って聞いてみました。
akihito aoi
ユングじゃなくても、広くこういう考え方はあったと思いますよ。
akihito aoi
フロイト理論はかなりヘンだったと思うけど。
Lee Shota
@akihito aoi とても理解が明確になりました!ありがとうございます!!
@寺澤 宏亮 モホイナジは「心理学的洞察とフロイトの精神分析を用いることで、「空間-時間」の原理を感情的言語の構文法として理解することができる」と言及していて、ユングに関しての言及はないです
akihito aoi
へえ、フロイトは読んでいたんだね。
akihito aoi
フロイトは何でもかんでも「幼少期の性的な抑圧」から説明しようとするので、熱烈な信奉者もいるけど、ついていけない人もいっぱいいたはず。ユングはフロイトと付き合って、こりゃキツイ、と思って、集合的無意識の議論を開発したんだじゃなかったかな。
寺澤 宏亮
↑こないだみたYouTube先生いわくそんな感じでした