山下 夏海|M2|20201111|研究発表+討議
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M1 山下「アイヌ研究史と明治以降のニ風谷コタンの変遷」
■論の構成
序論
これまでのアイヌ民族に関する研究が断片的、個別的記載であり、歴史的視点からの研究が少ない。
第1章
明治以降の倭人との交流が積極的になった頃
アイヌと平取の歴史の変遷
第2章
倭人との接触、その変容、明治以降
アイヌの空間に関する視点←これが一番重要
地名、旅の記録、集落の記録、考古学の遺跡、
序論と第1章で立ち位置を明確にし、第2章で平取の景観について、第3章で空間的側面に着目してアイヌの生活について述べ、第4章では他地域との比較、第5章で2章3章をまとめる。
■各分野からみる
・歴史学において
アイヌ民族
前近代史を対象としたものが多い、近現代史に関する研究が少ない。
現代のアイヌ民族に決定的に影響を与えたのが近現代。今注目されている。
・文化人類学
これまでの文化人類学による研究がタブー視され、ここでとまった。
アイヌの伝統文化を残したい、
アイヌの生活の中では、無くなってしまうものと残していくものを区別し、変化に適応していっていたのではないか。
・考古学
土俗考古学、渡辺仁。クマ祭を中心として他の文化も研究していった。
批判
1980年代
・言語学
金田一京助
知里真志保(金田一京助の弟子)
■二風谷アイヌについて
・萱野茂
アイヌとの交流、聞き取りから研究していた
・鷹部屋副平
各建築の写真と簡易的な平面図
1940年代和人が住み始めた転換期
■作業
・各住居の考察
・アイヌ語地名を手掛かりにマクロな視点での周辺の景観と重ねて考察
・和人の記録から、当時の倭人との社会的関係性と重ねて考察
・考古学資料から住居の位置がどうなっているか
〈議論〉
滝口
歴史的な事実を追うということは重要だけども、その分析、資料の解釈が大事になってくる。どのような視点をもって見ているのか?
→鷹部屋さんの1940年代の資料(アイヌの伝統的な住居、伝統的でない住居)と、
萱野さん集落の変遷どこに生活していたか、アイヌに対してどういう政策をしていたか
滝口
和人が入ってくる過程で、どのような空間的な関係で進んだかが一番大きなポイントですね
→住居の配置の向きがそろっているのだが、その向きが少し変わっているものもある。その位置関係を見ていくと、和人がどの辺から入ってきたのかが分かると思う。
青井先生
どの分野でも行き詰ってくると、研究史を総括してみよう。そして新しいものを見ていこうとなってきたりする。
山崎
既往研究、資料を批判的に見ることができているのがすごいなと思いました。
→自分の考えもふくまれていはいるけども、それだけではなくて、アイヌに関するシンポジウムが開かれていたりして、その記録を読んだりした。
青井先生
建築だとその傾向は弱いかもしれないけども、文系だと論文を書くときは、自分の扱うテーマに関する研究史を古いものから全部見ていくのが慣習。
〈チャット〉
青井 哲人
・この先行研究整理(研究史整理)はすばらしいね。
・諸分野での研究蓄積を「空間復元」によって編み合わせ、統合することがこの研究の肝。
・変化がつかめるとして、その変化とはいったい何なのか。これがこの研究のもうひとつの肝。