大野 竜|M2|20201111|研究発表+討議
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M2 大野 「安保闘争からみる社会運動の都市空間史に関する研究」
■闘争準備期(1959/3-10) 第一次〜第七次統一行動について
・この時期の国民会議の行動→地方共闘組織の結成と大衆啓蒙などのいわば機運醸成のための準備活動を行っていた。
・交渉内容が公表されなかった→運動自体はそれほど盛り上がらなかった。
■各運動の行動、空間の復元
(各組織のルート、主要建物のマッピングから)
①第一次統一行動 1959/4/15
・各地区の独自運動を積極的に行い、労働組合などは集会と職場集会を準備。
・日比谷公園→デモの拠点として利用されることが多い。(官庁街に近接、敷地の広さ、各施設の用途などから)
②第二次統一行動 1959/5/16
・職場大会を中心とし、中央集会は開催されなかった。
・選挙中だったこともあり、全般的に低迷。
③第三次統一行動 1959/6/25
・前段としての集会→それまでを上回る盛り上がり
④第四次統一行動 1959/7/25
・統一行動のデモの多様化
・右翼として戦後初めての合同デモ
・安保条約改定の調印時期のずれ→中弛み
⑤第五次統一行動 1959/8/6
・当日は中央集会を中心に全国で統一行動が指示されたが、原水爆禁止世界大会と呼応したこともあって全国的にかなりの盛り上がりを示した。
・官庁とは皇居を挟んで反対側で行うことによって勢力の高まりをアピールしている?
⑥第六次統一行動 1959/9/8
・右翼は国電新橋駅西口に集会。勤評賛成のもと宣伝カーで文部省と教育委員会に繰り出す。
⑦第七次統一行動 1959/10/20
・炭労24時間ストを初め総評傘下労組が勤務時間内外職場大会
・地域ごとの決起大会、デモ
・国労、動力車労組、私鉄総運など有力な組合が休憩時間内の職場大会に留めたので、全国的にはほとんど混乱なし
■進捗状況、今後の作業
・新聞
統一行動に関する記述はほぼ情報収集が終了
+写真集、NHK 放送の過去記録、公安調査庁の記録でおおよその統一行動の動きは追える。
・各運動が主体となっている資料
警察に申請された資料は有力
・今後
空間的復元
章立ての見直し
序章の書き始め
〈議論〉
ちょうんえ
考察する上でどういう視点を重要にしていますか。そこに竜さんの研究のオリジナリティがでるのではと思いました。
→デモのルートに対して、どういった場所を使っているか、向かっているか。復元していくにつれて、計画図に対しての使われ方の違いを見ていくことが重要になりそう。
日常空間→デモ空間になった時の空間の使われ方の変化
滝口さん
第五次運動の特殊性(中心に向かない運動)について
その特殊なルートからみる空間の関係性について
→運動の内容、スローガンは他の運動と同じだが、ルートが特異
なぜ中心に向かない、ガラ空きになるのかは気になるところ
伊沢
人の動きを空間に復元する時の使っている資料について
→主には新聞(組織の動きに関して、始点と終点はわかる)
公安調査庁の記録(規制の記録など)
写真(運動最中の風景から手がかり)
これらの各資料から重なる部分などの情報を補い合って復元を行っている
他の研究ではないのか?
→社会史では、運動の意義についての考察はあるが、一つ一つのルートの復元はオリジナルな作業
青井先生
社会史では、運動が社会にとってどう形成されたか、どう捉えられていたか(個々のふるまい)に着目しており、政治史では、それらの運動がどう意思決定されていたかの集合的、公共的意思についてに着目
いずれにしても、デモを都市という舞台において考察する研究はないはず
竜の研究の意義を強めるためにも、今までのデモの空間的研究はあるのか、先行研究のレビューをした方がいい
〈チャット〉
青井先生
・研究の枠組みを描くにあたって踏まえるべき文献としてどのようなものがあるか?
・藤野裕子『都市と暴動の民衆史 東京・1905-1923年』
・高知聡『新版 都市と蜂起』
・長谷川香『近代天皇制と東京:儀礼空間から見た都市・建築史』
・市川紘司『天安門広場』
ほかにも色々ありそうだけど、関連しそうな本を手当たり次第、序章と参考文献と訳者解説などを見て、基本的な参照文献の拡がりを掴むとよい。
滝口さん
あえて官庁の反対側で集結するデモがあったことは驚きですね
青井先生
たしかに鍵になる場所の形成史はある程度必要になるし、そのために計画史も必要になるかも。
・T. フジタニ『天皇のページェント 近代日本の歴史民族誌から』
・原武史『増補 皇居前広場』 (編集済み)