9635_「読書するためのホテル」ホテルそのものを読書する
コンセプトは「読書するためのホテル」、野尻湖のほとりの、森の中に隠されているかのような、『野尻湖ホテル エルボスコ』に到着しました。建築家「清家 清(せいけ きよし)」が設計した、「モダン」なホテルです。モダン。こと建築において、過ぎてしまったある時期において、この「モダン」という言葉が持っていたイメージを、みなさまにお届けできるでしょうか。
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外部も内部も、信楽焼煉瓦とH鋼やコンクリート、素材をそのまま見せています。野尻湖のある信濃町は、長野県の北部、新潟県との県境にあります。長野県上水内郡信濃町、 建もの探訪( 2018.08.18) hr.icon
『野尻湖ホテル エルボスコ』に到着すると、ファサード(建物正面)は、山のような壁をつくり、野尻湖を隠しています。
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建物の高さは樹木より低く、2階建ての住宅ほどしかありません。ですがホテルは3階建て。このエントランスは3階にあたります。
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中に入るとテーブルに案内され、ここでチェックインしました。1泊しか滞在しない我が家族は、それでもたくさんの荷物があって、スタッフの方に部屋まで運んでいただき、恐縮でした。
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野尻湖ホテルエルボスコは、豊かな森と湖の畔に佇み、近代建築の巨匠・清家 清氏が「自然との共生」をテーマに手掛けた別荘を彷彿とさせる大人のための隠れ家リゾートホテルです。
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滞在スタイルには「泊まる、食べる、学ぶ、遊ぶ、癒す。全てにおいて『自然との共生』する」を筆頭に「時間を慈しみ自然が愛でるBOSCOスタイル」「朝、目覚めたら森の中」を掲げています。
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エントランスの正面には大きな窓があり、窓とテーブルとの間には、下階に繋がる吹き抜けになっていて、森の中に浮かんでいる様です。この窓から湖は少しだけしか見えず、むしろ、隠しているかのようです。
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「3階→2階→1階」とアプローチするホテルは、初めての体験です。まるで、湖畔へと下りていく様です。下に見えるのがレストランで、この後、楽しみなディナ-があります。窓の向こう側の森の中に埋まっているのが、客室棟です。
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エントランスの左手、エレベーターホールを兼ねたライブラリ。「読書するためのホテル」のコンセプトが、ここに集約されています。
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『当ホテルから一番美しく、野尻湖を眺められる窓です』そう案内されると、思わず窓に寄りたくなりました。ライブラリ左端の隅の窓は、畳3帖程の台形でした。
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ライブラリは勾配天井、窓の脇では手が届くほど低くなっています。それによって私の視線を、窓の外に誘導する様です。また勾配天井によって、私は山型の外観を思い起こします。
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エントランス正面の大きな窓には、湖をわずかにしか見せず、この窓によって、『湖畔のホテル』であることを確認させる。その大切な窓を、ここまで絞り込んでいる。そんな建築家の強い確信に、言葉が止まらなくなったのでした。
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エントランスからライブラリ、エレベーターへは、「反時計周り」の動線で、体の動きがスムーズになります。「時計周り」と「反時計周り」、同じ様でいて異なるものです。「時計周り」の動線には、わずかなストレスを感じてしまいます。
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壁際のダウンライト。信楽焼煉瓦の凹凸を浮かび上がらせています。
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エレベーター脇の出隅、信楽焼煉瓦のディテール。「神は細部に宿る」建築家の知性に包み込まれる。最近、「ディテール」という言葉を使わなくなっている、自分を恥じています。
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客室に持ち込む本を1冊選ぶと、客室に向かいました。
続編に続きます。
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