松本俊夫
一般に「いい映画だ、感動した」と言われる映画は、劇映画だとストーリーがすばらしく、登場人物が魅力的で、テー マが深い、と言われます。記録映画だったら、素材や姿勢がいいとか、とりあげた出来事じたいが興味をひく、と言われるでしょう。事実映画の解説や批評が話題にするのは主にそのあたりです。しかし私がひっかかったのは、それではその映画のすばらしさは映画を 撮る以前にすでにカメラの前にお膳立てされているじゃないか、だったら映画によってはじめて生み出される映画に固有な価値とは何かということでした。
「素材とは別次元のもうひとつの現実を構築すること」
石の詩、1963年
アーネスト・サトウによる石切場の写真と採録された音声を使って映像を構成するというお題(TBSから)
https://www.youtube.com/watch?v=wASjwf-FN4I
音が持つ吸引力からテーマを着想
安保闘争敗北といった政治的背景を関連付けた
非映画的なモチーフ
結果、TBSのプロデューサーは左遷、作家本人はTBS出禁