GenArtの歴史叙述のモチベーション
LeRandomやMassage Magazineが積極的にGenArtの歴史叙述を引き受ける背景への私見
美術史の小さいサブジャンルとして沈黙の歴史
GenArtはCybernetic Serendipityなどの国際的な成功を持ってしても、当時のアート・ワールドの本流であるポップアートやコンセプチュアルアートの論客に見向きもされなかった
この経験を引きずっている
美大などの学術研究で体系的になされない
自体のムードに呼応して研究が散在する
そもそも通史的解釈提示はリスクが高い、潜在的な不可能性
CGやコンピューターアニメーションの歴史叙述は産業の発展史として記録されているが、アートではない
NFTでの金銭・アテンションの流入
Tyler HobbsやMatt DesLauris、Takawoらのとんでもない規模の商業的成功
そこらのファイン・アートよりも高額になってしまった
彼らは言語化もしており、美術として扱う十分な文脈形成が可能であった
ブロックチェーンのトークン=商材としてのフィット
ブロックチェーンのプラットフォームに動的に「埋め込む」作品・トークンとしてGenArtは最適だった
GenArt大量生産やレアリティの管理を露悪的にでなく作品価値に対応させられる
内情はブロックチェーンプラットフォーマーによるマッチポンプ的な売り買いに変わりない
買い手はファイン・アートとは層が異なる・新興のIT長者、Web3成金
作品売上による余剰の財源
批評をしてお金になる稀有なジャンルとなった
書き手に報酬が払える!
島・界隈のひろがり
Le Randomのようなキュレーション・コレクションをおこなうチーム
GenArt振興財団、VolumeDAOのような教育・普及を担おうとするチーム
NEORTなどの新興のギャラリー
老舗オークションハウスやベニスビエンナーレといった、アート・ワールドの権威認証機関が、好意的に扱った
売れたという事実が先
ヘルバート・フランケ、Vera Molnar、川野洋の再評価
ゴッホのような評価時差
歴史叙述の可能性
叙述する対象として成熟されてきた
美術史における技術への視点
美的範疇の拡大:ネットアートやゲームアートなどの認知
生成AI、バイオアート
NFTにまつわるキュレーションや企画・販売機会が直接的なトリガー
(価値転倒自体を主題とする)ポップアート的価値観よりも同時代にクリティカルな話題
指数関数的に変わりゆく人間の認知、情報生活のありようをどう描写するか?
これを端的にあらわしている
問題
生成的であるにも関わらず「GenArtの歴史」として叙述されない部分の領域が明確化される
グラフィックデザイン、広告
ゲーム・アート
実験映像ではないCG・アニメーション
インタラクティブ・インスタレーション
AR・VR・XR
サーキット・ベンディング、Hackにまつわる審美
ArtBlocks系作品の類似的傾向
美的尺度、美的範疇としての体系化、収斂
歴史化それ自体の逃れられない非対称性
アカデミズムっぽさ