DemoとGenerativeArt
Demoscene は違法コピーやソフトウェアクラッキングに原点を持つ,「正統な」サブカルチャーであるが,今や,高度な数学と幾何学的アルゴリズムが結集されたエクストリームプログラムによる超技術志向のカルチャーである.Demosceneの祭典Demo Party で披露されるソフトウェアによって生成されたCG は,コンピュータの限界に挑む視覚効果の最前線にある.冷戦下で東西分裂をしていたヨーロッパ各国に見られ,ハンガリーやギリシャといった東欧でも顕著な表象がある41のは興味深い. Apple II,Atari,Commodoreといったマイクロコンピュータのブランドはみなアメリカ製であり,そのままソフトウェアを使うことは困難であったため,それぞれの母国語,用途にあった環境にカスタマイズする必要があり,またそれができる余地があった.若者の間でこうした実用的なHackは行われ,高度なHackerはヒーローたりえたが,アメリカ製の製品を使うと同時に改変していくことは少なからず政治的な意味合いがあった.しかしながら,「鉄のカーテン」を境とした政治的意識の差よりも,むしろヨーロッパ内で共通した様相を見せ,アメリカに希薄な新規技術に対する批評的態度という非常にヨーロッパ的特質を表象していた42.
違法な“Hack”として始まったこのカルチャーは,やがてハードウェアやゲームに改変を加え,それを見せ合うという行為に発展していき90年代後半にはオンラインのP2Pのやり取りから,実際に実地で集まりPartyとなっていった.ゲームのオープニングに独自のIntroを差し込むことの名残から,今も制作されたDemoのことを“Intro”と呼び,当時のハードウェア仕様であった計算リソースや記憶容量の制約が今でも競技種目のように残っている43.Partyは今ではさながら競技大会であり,PCスペックとsource codeの容量という厳格な制約の中で,視覚的に優れた表現ができているかを投票によって順位付けする,エクストリーム・プログラミングの実践場でもある.2010年代も続くこのPartyの主な表現は,GPUプログラミングによるRay Marching によって3次元フラクタルを生成するものが多く見られる.Generative Art を,プログラミングによって表現されたアルゴリズムの適応による独立したシステムによる描画とするならば,その純粋な技術的最先端は,2010年代も世界各地のDemo Partyでみることができる.
41 高い評価を得ているDemogroupのConspiracyはハンガリー出身である.同国 出身のエンジニアグループであるMoleman が制作した Demoscneneのドキュメンタリーフィルムである“Demoscene – the Art of the Algorithms”では多くの東欧系のアーティストが紹介される.
42 Gerard Alberts & Ruth Oldenziel, “Hacking Europe – from Computer Culture to Demoscenes”, Springer, 2014.
43 64K, 4K以内にSource Codeを収めてバイナリ化し実行されるリアルタイムCGを, それぞれ64K intro, 4K introという.現在も主要は.Ray Tracingを使えばこのような容量でも高解像度のアニメーションが生成可能であるが,記述が短くなればなるほど,技術力やアイディアが問われるのは言うまでもない.ファイル容量の制限がないものはDemoと呼ばれる.
「ArtとDemo」で触れられるところのDemoの絵を見てみる
Demo:Artと比較したときに技術力提示、技術的なフィジビリティーの最前線を見せる、といった意味合いと想像できる
生成的意味合いが色濃く出ていることは明らか
いまは同一視されない傾向
Art側が混合を拒否する批判の文脈
Demoの「オレツエ~」感:(某美大出身デザイナーがおっしゃっていた言葉)
WebGL系の派手なプロモやライゾマなど技術資産を前景化させているプロダクションへの批判的文脈
クラブシーンでのアッパー&ハイプなビジュアルの要求
技術制約設定からくる競技性の帰結として
つぶやき〇〇
やっていることがかなり似たジャンルにもかからわず、議論が交わらない・混じらない
ビデオゲーム自体の審美に対しても同じような理由で、GenArtと分化している
NFTやRefik Anadolが美術品として収蔵される・オークションにかけられる
交わらない(ように見える)Web3とDemoscene
ArtBlocksではリジェクトされがちな絵
本来CryptoとMod文化などは同根であることを示せそうでもある
Kali のようなDemoにおける貢献がある人のNFTも好調である、という例もある よく調べる必要
網膜のみで受容される審美・美的尺度、と思われがち
実際はコードに対する審美や制作プロセスに対するおもしろみなど批評的な視座がたくさんある
はず
Demo強者は制作のための道具を自作している(おそらく昔から)
競技性も相まって、道具への性能観点でのこだわり
そこにアイディア、遊び心がありそう
Ukonpowerさん:glライブラリ、Blenderアドオン
ミニファイツール
コードなどをJPEGにして圧縮する(!)
最近は
画面構成が洗練されていく傾向
カラーマネジメント、フィルミックな画作り
ミニマルな環境(被写体・ライト・カメラ)
技術的な難易度クリア感の提示
https://www.youtube.com/watch?v=gt1D-DmZma0
https://www.youtube.com/watch?v=6INL_pxX8L4
https://www.youtube.com/watch?v=TaEoAJw_0Zc
https://www.youtube.com/watch?v=ncdA3t_vzF8
https://www.youtube.com/watch?v=-OT-wFXbjk4
https://www.youtube.com/watch?v=9r8pxIogxZ0