技術的操作がないと実現できない良さ
anti-技工的な作品
「便器の提示」は技術的な操作を行わない、いわば知的操作のみでおこなわれたもの
アヴァンギャルドやポップアート、その系譜に類するもの、コンセプチュアルなマナー、もしくは、退廃的で破壊的な風合いは、技工(技術的な操作)に否定的立場をとる
技工はとくにアカデミズム的もしくは徒弟的ヒエラルキー、権力勾配を暗示する
資本や産業、社会力学など大きな力が働いていることに対する反応
技術=暴力 vs アートとしての対立構造をつくりやすい
インストールなどのプロセスで技工があったとしてもそこに価値はない
そのかわりわかりやすい知的操作で価値転倒や枠外の審美に言及する
アートは、何も前提が共有されないところから価値を見出す作業として解釈されたはずが、結果的にイズムを生み、偏りを助長する
技術的な操作を使わない・信用できない資本に依存しないといった点などで必然的に偏りがでる
社会構造に対する善性(ポリティカル・コレクトネス)の主張のゲーム
結果的に「トランプを支持する層」を生む
ここで生まれたアートは、内向きな批評にとどまり閉じたネットワークで熟成されるという点で、新しい風通しの悪さも生んでいるのではないか
AIによる作品制作も実質的にanti-技工的な作品である場合が多い
技工的な作品
対照的に、アートの系譜にある議論を技術的知で更新したように見える作品や、社会環境を道具として技工・技巧的に扱う作品は「良い」と判断しやすい
技術的操作は可能性の空間が広大で意外と未開拓な領域が可視化される
未開拓な領域とそうでない部分の提示と開拓(文脈の分析)は必然的に高度な社会批評になる
↔簡単に客観的「新規性」を謳える(ときにはこのムーブが露悪的となる)
未開部分を発見する、提示してくれるところに「良さ」があり、鑑賞時の快がともなう
↔技術が内包する加害性(征服、啓蒙的)でもある
「アート」が興味を失った領域でもある
「アート」側が良しと判断しないのは、連鎖的な疎外感(アウトサイダーとしての自意識)に起因?
別で考えたい
前提が見えやすいため、議論がしやすい
ファシリテーション的な役割としての「アート」としてよく機能する
やばい技工は意外と透明化して議論されにくくなることもある
「すごそう」で感想が終わる
本来は細部まで技術の痕跡をあじわえ、文化背景に思いを馳せられる
コンペなどで評価される・公的な助成を得て制作される作品は技工的であってほしい個人的願望
技における(文化背景とてらしあわせたときの)旨さ
最近、良い~と思った作品
一龠
https://www.youtube.com/watch?v=iWzUxFQQAKY
漢字判定をする正規表現 から着想
コーディングの中の常用的振る舞いにおかしみを見出す
自分はこの判定はしらなかった
GlyphWiki
Unicodeに(ISOなどで標準化されている)対応した漢字の字形を登録・管理できる
膨大な非常用漢字、という可能性
u2b81d -> https://scrapbox.io/files/675e61b63079c375639f7d6e.png kage-engineという比較的マイナーなツールキットの使用(とその使用の開示)
字形のビットマップをベクターに変換?よくわからないが部首などを取り出すことを可能にしているのがこの部分っぽい
それ以外にもシーケンス管理やモーフィング管理などで節々に感じられる技術的痕跡
手作業(Adobe的パラダイム)では不可能
これらニコ動やボカロ文化の延長として提示される気持ちよさ
キャラクター性やアバターに依存しないストイックさで沸かせる
Caftaphata
https://www.youtube.com/watch?v=cMnuMjXeHrY
微分音(12音外の音)の探索
本来的に12音の平均律音階は、音階やハーモニーにおいて非常に狭い領域的な話
ということが翻って提示されている
整数倍音によるハーモニー
原理はシンプルだがそれだけで平均律音階以外での和声が現れる
整数倍音による和声をコード表にまとめて体系化
記号論的操作
Aマイナーとかのコード表記やバークリーの音楽理論、トーナルハーモニーとかが美しく見えなくなる、いかに狭い領域の狭いテクニックであるかが自覚させられる
色などを記号のアトリビュートに用いてるなど興味深い点がたくさんある
既存の硬い音楽理論からの自由さ
おそらく微分音による作曲はめずらしいことではないが、シンプルな規則で和声を体系化し、コード表をつくり、コードプログレッションを探索して楽曲をつくるという一貫したプロセスがすごい
言語のフルスクラッチ
言語のフォルマント、口腔内での発音から分析的に遡って言語(表記・発音)を再発明する
ちょっとすごすぎる、技巧的すぎる
がそこらの「アート」よりも、人間の文化形成にクリティカルな話題をなげかけている
「言語」のもつ硬直性を逆手に取っている
言語研究から派生・表象されたすごい例